マンションの騒音トラブル。住んでみないと分からない?

住まいの環境

マンションは、音の問題でトラブルになりやすいです。うるさいかうるさくないかの音の捉え方は人によって様々です。

2000年から2013年まで住宅リフォーム・紛争処理支援センターに寄せられた集合住宅の音の不具合に関する相談のデータによると、不具合の発生部位は床が51%。続いて壁が15%、天井・屋根が11%の順になっています(資料:日本建築学会「集合住宅の音に関する紛争予防の基礎知識」より)。

トラブルを未然に防ぐために、音トラブルの事例を確認しましょう。

マンションの騒音トラブル。住んでみないと分からない?

2019年3月31日までに終結した1,351件において、争点になった主な不具合事象は、戸建住宅、共同住宅ともに「ひび割れ」の割合が最も高くなっています。

争点になった主な不具合事象
表:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2020」

共同住宅では、「遮音不良」「異常音」を足し合わせると、21.3%となり、マンションで紛争になった原因の多くは音です。

トラブルが多くなる原因の一つとして、音に関する法の規定が少なく、遮音性に関する法規則は建築基準法30条の定めくらいしかないということもあります。

建基法30条は長屋や共同住宅の隣戸間界壁の遮音性能に関する規定ですが、共同住宅に響く音は界壁だけでなく、外壁や天井、窓から隣戸の音が迂回して伝わります。

ここでは、音トラブルで設計者でも見落としがちな事例を確認しましょう。

換気口からの騒音

マンションは利便性から主要駅近くや主要道路に面して建てられることが多いです。そのため、問題となるのが定期的な交通騒音です。

騒音は窓などでは対策は取られてきましたが、給気・換気口(のような小さな開口部からでも室内に入ってきます。

また、リフォームでアイランド型キッチンにした場合は、ガスコンロなどがリビングルームに近くなるため、レンジフードから室内に騒音が入ってくることもあります。

防音パイプ
写真:大建プラスチックス「防音パイプ」

対策としては、防音機能を備えたレンジフードやダクトへのサイレンサーの設置が有効です。サイレンサーは安く、自分でも設置が簡単なためおすすめです。

トイレの放尿音

マンションのリフォーム後によく問題になるのが、トイレの音です。水まわりと居室の間に小梁が無い場合、水まわりで生じた音が下階の居室に伝わりやすくなります。

特に古いマンションで、コンクリートスラブに直接、あるいはPタイルや長尺塩ビシートの上に設置している場合は直接音が伝わるので注意する必要があります。

大便器からの音・振動の伝搬を防止する措置
図:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「大便器からの音・振動の伝搬を防止する措置」

その場合は、防振対策としてゴムパッドを挟んで設置してください。

床鳴り(太鼓現象)

遮音性能の高い二重床の採用が、マンションでは多くなっています。

しかし、設置の仕方によって、床衝撃音の遮音性能が著しく低下するケースがあります。

その1つが壁際の施工を誤った場合です。

乾式二重床は、床仕上げ材とスラブとの間に空気層があり、ここが密閉状態になると、歩行や飛び跳ねの際の衝撃によって床が太鼓のように作用し、重量床衝撃音が大きくなることが知られています。

乾式二重床に関する遮音性能確保の留意点
図:(有)泰成電機工業「乾式二重床に関する遮音性能確保の留意点」

床端部に硬い支持部材を用いると床衝撃音低減性能が大きく低下します。

特に床スラブ中央側の居室の出入口などは,床スラブの周辺拘束による影響が小さくなるため、硬い材料による影響が顕著に表れます。

二重床を設置する際には、床下に空気を閉じ込めないように床面端部には5mmほどの隙間を設けなければなりません。隙間の意味を理解せず、隙間を無くして端部の見栄えを良くしようと考える職人がいます。

また、ゴム脚の束を使って遮音性能を高めても、壁際に根太を使っては意味がありません。食器を落とすなどの軽量床衝撃音は、際根太を伝達経路に階下に響きます。

これらのような、近年特に多い、建物内の住人の行動が発生源となる音のトラブルを未然に防ぐためにも、音の伝わり方や音の死角になりやすい箇所を押さえておきましょう。

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