乾燥の冬、深夜に火災が起こる理由

火災被害

住宅火災から家族と財産を守るためには、その火災原因について理解しておく必要があります。住宅火災の多くは「まさか」こんなところから火の手が上がるなんてと後悔する方が後を絶ちません。しっかりと知識を身につけましょう。

夜に起こる火災の共通点

夜に起こる火災には共通点があり、多くが就寝時間帯に発生しています。住宅火災の死者数を時間別に見ると、日中よりも夜の方が多くなることが分かります。特に就寝時間帯の2時から4時の間の死者数は昼間の倍近くになっています。

令和3年版 消防白書より抜粋

寝ている時は火災の発見が遅くなることが多く、手遅れになってしまう可能性が非常に高い傾向があります。住宅火災の死者数を発火原因別で見ていくと、たばこが15.6%、電気器具が12.6%、ストーブが9.3%となっています。この3つは原因が、寝たばこ、延長コードの使用、ストーブから燃え移ることです。

令和3年版 消防白書より抜粋

寝タバコで火源が落下したことで火災が起きて亡くなるケースは非常に多いですが、その他にも吸殻を屑入れて燃え移ることもあり、火種の落下に気付かない場合や不適切な吸い殻の後始末により火災となるケースが急増しています。

電気器具の場合は、電気ストーブは消費電力が多くなるため、不適切な延長コードの使用(安全基準を満たさないもの)や余分なコードを折り畳んで利用するなどで、コードそのものが急激に温度上昇して発火するケースもあります。またタコ足配線で制限ワット数以上の電力消費量になっていたり、コンセントの埃や曲がったプラグを使い続けて発火することも火災原因として挙げられます。

NITE実験映像より

最後のストーブの場合は、地域によっては石油ストーブより電気ストーブの方が火災や死者数が多くなっていることがあります。その理由として油断してしまう人の心理が背景にあると言われています。例えば電気ストーブは火を使っていないから安全と思ってしまう過信があったり、そのため布団近くに電気ストーブを付けたまま就寝して、そこに布団がずれ落ちてしまうことで発火につながってしまうことも原因として挙げられています。

令和3年版 消防白書より抜粋
NITE実験映像より

石油ストーブに比べて電気ストーブの場合は、「まさか」ここから燃え出すとは考えられないと言うケースが多くなっています。最近の電気ストーブは非常に発熱エネルギーが高いため、使い方を間違えると一気に発火してしまいます。

また、冬場になると室内で電気ストーブの近くで洗濯物を干したりする家庭もあり、何らかの理由で燃え移ったりして火災の繋がるケースも多くあります。

NITE実験映像より

住宅火災で多くの高齢者が亡くなる

令和3年の消防統計(火災統計)では、住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)966 人のうち、65 歳以上の高齢者は716 人で、7割を超えています。

令和3年の消防統計(火災統計)

住宅火災における死者の発生した経過別死者数では、逃げ遅れ472 人、着衣着火37 人、出火後再進入11 人、その他446 人となっています。

また、総出火件数は35,222件の内、「放火」及び「放火の疑い」を合わせると3,888 件で1割強を占め、原因別出火件数は過去から第1位は変わりません。家の中だけでなく、家の外にも目も向けなければならない現状があります。

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