発生から9日目に栃木県足利市の山火事は消し止められましたが、およそ106ヘクタールが焼け、周辺の305世帯に避難勧告が出されていました。
実は、足利市の周辺は、全国的にも発生の危険性が高い地域だったことが知られています。過去(平成26年)にも72ヘクタール焼ける山火事が発生しています。
専門化によると、足利市を含む関東や東海、瀬戸内など各地にこれらの地域が点在しています。
このような山火事は全国で1日平均3件以上発生していることはあまり知られていません。山火事の実態と危険に確認しましょう。
山火事の原因は放火!?
林野庁によると、令和元年に日本全国では1391件の山火事が発生しています。

栃木県足利市の山火事以外にも、多くの山火事が日本全国で発生しています。近年の100ヘクタール(1k㎡)以上の山火事をまとめました。
発生場所 | 発生日~鎮火日 | 焼損面積(ha) | 避難勧告等人数 |
岩手県釜石市 | 平成29年5月8日~5月22日 | 413 | 136世帯348名 |
東京都三宅村 | 平成24年11月16日~11月25日 | 156 | 85世帯約146人 |
愛媛県今治市 | 平成20年8月24日~8月29日 | 107 | 52世帯 |
広島県瀬戸田町・因島市 | 平成16年2月14日~2月23日 | 391 | 17世帯40人 |
山火事の出火の原因は、「たき火」が373件と最も多く全体の30.2%、野焼きなどの「火入れ」が216件で17.5%、疑いも含む「放火」が104件で8.4%、「たばこ」が63件で5.1%と、全体の6割余りが人為的なものとなっています。

このように山火事の多くが人の不注意などによるものとなっています。一方、落雷など自然現象によるものは稀です。
また、山火事の約7割が冬から春(1月~5月)にかけて集中して発生しています。

これは落ち葉が積もって燃えやすい状態になっていることや、風が強いこと、乾燥した状態になるといった自然条件が重なるからです。また、春先は、山にキャンプなどで入る人が増加し、火の始末が悪く、それが飛び火することも原因となっています。
栃木県足利市の山火事の原因はほぼ人為的なものであることは間違いないでしょう。
なぜ山火事は消すのが困難なのか?
栃木県足利市の山火事は、2021年2月21日に発生し、消し止められたのは3月1日の午後でした。
消火が困難な理由として、まずあげられるのが「飛び火」です。

火が広がった時、足利市では乾燥注意報と強風注意報が発令されていました。風にあおられて「火の粉」は飛び散り、延焼が一気に拡大します。写真からも大きくまとまった火と点在する火が確認できます。
このように広域に延焼が拡大した場合、地上からホースを延長して消火作業することは困難になります。この場合、自衛隊がヘリコプターで散水します。この散水は直接火にするのではなく、燃えている近くの木に延焼防止のために散水することになります。栃木県足利市の山火事でもヘリコプター4機で1日45回前後の散水がされています。
海外の山火事(広域森林火災)
海外では最も山火事のリスクが高まっていると言われており、地球温暖化が山火事の条件を加速させる原因となっています。
2019年9月より多発化し、2020年2月まで続いたオーストラリアの山火事(広域森林火災)の調査でも、気温の上昇、湿度の低下、降雨量の低下、強風といった条件が、山火事リスクを高めると説明しています。こうした条件が揃いやすくなった結果、深刻な火災が増えています。
その焼失面積が500万ヘクタール以上、これは九州と四国を合わせた面積にほぼ相当します。

一方で米カリフォルニア州では2020年には、400万エーカー(約1万6187平方キロメートル)が山火事に見舞われました。これは過去3年間の合計を上回る面積です。

いずれも気候変動が大規模な山火事を招く結果となっており、日本も例外ではありません。
住まいを考えた時に山火事の可能性がある地域に住むことのリスクも考えることが必要になるかもしれません。