断熱は窓から始めよう。暑さの7割、寒さの6割は窓が原因!

住まいの環境

日本の住宅の窓の性能は、いまだに最低基準が存在しません。日本の住宅においてもっとも一般的な窓はアルミサッシと単層ガラスです。これは外壁に比べて10分の1程度の断熱性能しかありません。

このような窓は、U値(熱貫流率:小さいほど性能が高い)が6.5W/m2・Kと、とんでもなく低性能な値です。

日本と気候が近い韓国では、U値の最低基準は2.7W/m2・Kとなっており、2.5倍以上の差があります。

窓の断熱性能表示制度
図:日本サッシ協会「窓の断熱性能表示制度について」より

今もこうしたタイプの製品を販売することが許可されており、一部の住宅メーカーの標準仕様となっています。

家の断熱性能の大部分は「窓で決まる」と言えます。その理由を確認しましょう。

断熱は窓から始めよう。暑さの7割、寒さの6割は窓が原因!

窓などの開口部を通して、冬に暖房の熱が逃げる割合は58%、夏の冷房中に入ってくる割合は73%にも及びます。

つまり、部屋の暑さも寒さも「窓」次第ということです。

住宅への熱の出入り
図:LIXIL「住宅への熱の出入り」より

窓はおもに「ガラス」と「サッシ枠」の2つのパーツから成り立っています。ガラスもサッシ枠のどちらも断熱性能の高い製品があります。

断熱性能
(出典:樹脂サッシ工業会より)

この表の中のガラス、サッシ枠についての内容を以下にまとめました。大雑把に覚えておけば良いと思います。

ガラス

単板ガラス

単板ガラスはもっとも断熱性能が低いがコストは安い

複層ガラス(ペアガラス)

2枚以上のガラスで空気層(断熱)を閉じ込めた窓ガラス

Low-E複層

複層ガラスとの違いは、外or内ガラスに低放射性能をもつ金属膜を貼り、日光を反射させたり室温を逃がさないもの

Low-E複層アルゴンガス

空気層に熱を伝えにくい性質をもつ「アルゴンガス」を封入したタイプ

Low-Eトリプルアルゴンガス

ガラスを3枚使用して2つの中空層を有する窓ガラス

サッシ枠

アルミ

軽量かつ強度もあり、腐食やさびなどにも強く安いが断熱性能は最低

アルミ樹脂

アルミと樹脂を使いアルミサッシのおよそ1.5倍程度の価格に抑えたもの

樹脂

断熱性、遮音性、気密性が高いが、重く、価格も高い

木はアルミに比べて1000倍以上も熱伝道率が低く断熱性能に優れているが、メンテナンスが必要

ちなみに、ハウスメーカーが採用している窓の多くが、「アルミ樹脂サッシペアガラス」という状況です。

これを窓の熱貫流率に置き換えると、2.33~1.6前後に収まります。室内の快適性を考えれば、これが最低ラインと思います。

同じ、アルミ樹脂サッシペアガラスでも、熱貫流率に幅があるのは「ガラスの厚み」「空気層の厚さ」「ガスor空気」「樹脂アルミの使用量」「Low-Eガラスの仕様」「スペーサーの種類」などによって変わるからです。

リフォームではどうすればよいか

窓の断熱リフォームの方法は、主に2つあります。中古マンションでは窓は共用部にあたり勝手に交換できないので、①の一択になります。

①二重窓にする(今ある窓に内窓をつける)

②窓交換(カバー工法)

二重窓にする(今ある窓に内窓をつける)

今ある窓の内側にもう一枚、新しい窓を付けます。既存の窓との間に空気層をつくることで、断熱性も防音性も高まり、結露も減りますが、空間が若干狭くなる点が挙げられます。

消費者目線で大変参考になるのが「ちきりんさん」のブログです。

築20年のマンションに内窓リフォームをして、1年住んでみた感想を書いています。

小さい窓については、内窓用プラレール、プラ枠とツインカーボを使った内窓をDIYでつくることも可能です。

ツインカーボとは、「ポリカ中空ボード」とも呼ばれ、ダンボール紙のような形状で、2枚のシートの間に空気層があるため断熱性が高く、かつ透明性があり、UVカットなど耐候加工しているものもあります。どちらもホームセンターなどで購入できます。

内窓用プラレール、プラ枠とツインカーボ

ちなみに、ツインカーボを製造している旭硝子は、ツインカーボの熱貫流率を公表しています。

ツインカーボカタログ
表:旭硝子「ツインカーボカタログ」より

板厚4mmで熱貫流率4.0となっており、「アルミ樹脂サッシペアガラス」の4.65より小さくまぁまぁの断熱性能です。ただし、上記値は端部を密閉した場合のデータになっているので注意してください。

窓交換(カバー工法)

壁を壊さずに今あるサッシの枠の上から新たに枠とサッシを取り付けます。断熱性の高いサッシを付けることで、それまでよりも断熱性能が高まるというものです。枠をそのまま使うことで施工コストは安くなります。

カバー工法
図:LIXIL「カバー工法」より

ペアガラスでも結露するかも(専門的なので興味がある方向け)

ペアガラスの空気層を設けるために、ガラスの周囲を挟み込むスペーサー部材があります。このスペーサーがアルミか樹脂かによって断熱性能に大きく影響します。

樹脂スペーサー
図:IGウィンドウズ㈱「樹脂スペーサー仕様 Low-E 複層ガラス」より

そもそも断熱性能を上げるためのスペーサーなのに、それが熱を通しやすいアルミで作ってあることがあります。スペーサーがアルミであった場合は結露する可能性が高くなります。

どんな窓でも最も結露する可能性が高いのは、下枠とガラスが接する近辺です。そして結露が発生するか否かは、一般的にはガラスよりサッシ枠の方が性能は低いので枠の性能でだいたい決まります。

例えば、人間の健康に理想的な冬の室内環境は、室温が20℃で相対湿度が50%程度とされており、この時に外気温が0℃であれば、結露が始まる温度(露点)は9.3℃です。

この時に、アルミか樹脂スペーサーかの違いを比較するため、ペアガラスのアルゴンガスの有無と樹脂スペーサーの有無の計4パターンで下枠の温度を比較したグラフを示します。

(資料:テクノフォルムバウテックジャパン)

このグラフから、アルゴンか空気かによる下枠表面温度の差は0.3℃程度に対して、スペーサーが樹脂なのかアルミなのかによって、2℃も違います。

しかも、この2℃の間には、結露が発生するかどうかの境目である9.3℃というラインが含まれています。樹脂スペーサーであれば、空気層がアルゴンでなくても結露しないことが分かります。

ただし、アルミスペーサーから樹脂スペーサーにすると値段が結構上がるので「費用対効果を考えると他にお金をかけた方が良い」という結果になる場合もあります。

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