災害シェルターになる住まいとは。冬は無暖房、夏は冷房なし。

住まいの環境

巨大地震で大災害が発生した場合、まず命が助かること、そのためには耐震性能や耐風性能などが重要です。

次に、電気やガスなどのインフラが途絶えず生活するのに困らないことが重要になります。

南海トラフ地震におけるライフラインの被害想定
図:ナイスビジネスレポート「南海トラフ地震におけるライフラインの被害想定」

政府が中央防災会議に設置した「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」よると、地震発生から1週間が経過した段階で、停電の大部分が解消、都市ガスは6割が供給停止、上水道は7割が断水、下水道は4割が利用不能、固定電話は2割が不通のままとなっています。

交通インフラは、新幹線や在来線は不通のままではあるものの、バスによる在来線の代替輸送が開始されるとしています。

さらに首都直下型地震が起こった場合、避難所は人で溢れ、コロナの2次感染リスクもあります。さらに厳寒期や酷暑期に災害が起これば厳しい避難生活になります。

阪神・淡路大震災(1995年)が起こったのは、1月という最も寒い時期でした。建物倒壊は免れたのに、電気やガスが途絶え、暖かい食料や毛布などの物資が不足し、そのため低体温症で亡くなった方が沢山いました。

夏の場合、冷房も冷蔵庫も使えないし、食料の傷みやすさや、衛生面での問題が冬より厳しい状況になります。

このような状況で、冬は無暖房、夏は冷房なしで過ごすことができれば、避難所に行かなくても自宅で生活するという選択肢もあります。

このような「災害シェルターになる住まい」の要件を一緒に考えましょう。

災害シェルターになる住まいとは。冬は無暖房、夏は冷房なし。

暖房しなくても暖かで、冷房しなくても涼しい住まいは、暖房負荷や冷房負荷が小さい省エネ住宅です。

このような住宅では、冬は無暖房でも室温が15℃を下回らず、夏は冷房がなくてもなんとかしのげる生活が可能です。

冬の無暖房のためには

冬に暖房の熱が流出する割合が大きいは、開口部で58%です。

開口部からの熱の出入り(冬)
図:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会「開口部からの熱の出入りは、どの位あるのですか?」

まずは、ここを見直すことで、大きく住環境は変わります。

家の断熱性能の大部分は「窓で決まる」と言えるのはなぜか、を以下で詳しく解説しています。

多くの住宅メーカーは、窓の熱貫流率(U値)を4.65レベル(アルミサッシ+ペアガラス)で抑えている会社が大半です。

強いて言うなら、実質U値1.7以下のサッシ(樹脂サッシ+Low-Eペアガラス)とし、気密性能(C値)が最低でも2以下(北海道や青森など)とすれば、室内環境は、温度や湿度はもちろんのこと、健康面でも大きな改善が見込めます。

ちなみにC値2.0はそんなに難しい値ではありません。平成11年での基準でも寒冷地は2.0以下となっていますが、平成25年基準では削除されるという業界の闇があります。

そのため、次世代省エネ基準、ZEH基準、HEAT20基準など家の性能を示す基準がたくさんありますが、全てにおいてC値は必要項目に入っていません。

よって、大手ハウスメーカーでもC値には言及してないことがほとんどですが、社内では計測しているはずです。某ローコスト住宅メーカーでも、実測値は2.5前後となっているようです。

気密性能は、1棟1棟実際に測定しなくてはならないので、仕様が決まっていたとしても施工の良し悪しによって大きく左右されるので、完成品としての車のように保証できない問題があります。性能を謳っているのに、実際出ていなければ施工を最悪やり直しです。

夏の冷房なしのためには

冬と同じく、開口部から熱が入るのも開口部が73%となっており、まずはここを見直す必要があります。

口部からの熱の出入り(夏)
図:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会「開口部からの熱の出入りは、どの位あるのですか?」

以下のブログでは、最初に知っておかなければならない開口部の基本的なセオリーについて説明しています。

暑さ対策は通風と思っている人が多いですが、通風よりも日射遮蔽の方がはるかに効果は大きいです。

アウターシェード
写真:YKKAP「アウターシェード」

日射を4割程度しかカットできないカーテンに比べて、外部に設けるシェードやよしずは、日射を8割程度カットできるので、おすすめです。

災害シェルターになる住まいのリスト他

①家族一週間分の食料(非常食)を常時備蓄

ライフラインの復旧まで一週間前後とすれば、その間は非常食で乗り切る必要があります。

②ペットボトル用の浄水器

災害への備えの中でも、特に重要なのが「水の確保」ですが、断水時にはお風呂にためた水などに使えるペットボトル用の浄水器があれば役に立ちます。

③小型のカセットコンロ、ボンベ

過去の経験からガスの復旧は遅くなることが分かっているので、調理する際のエネルギー源としてコスパが良いのでぜひ揃えましょう。

④太陽光発電システム+蓄電池

環境省が公開している資料「太陽光発電の賢い使い方 ― 停電・災害時の自立運転コンセントの活用」には、実際に自立運転用コンセントにさまざまな機器を接続して、使えるかどうかを実験した結果が紹介されています。

これによれば、太陽光発電による発電量が1.5KWを超えていれば、ブラウン管のテレビや携帯電話の充電器は問題なく使え、冷蔵庫や電気ポット、炊飯器、電子レンジはほぼ使え、掃除機や洗濯機も場合によって使えたと報告されています。

エアコンや大容量のオーブンレンジなどは、さすがに使うのは難しいようです。

⑤電気自動車などの車

災害時に車があれば、明かりの確保、テレビ・ラジオで情報収集、スマホの充電、暖房及び冷房、ペットと一緒にいられるなど様々なメリットがあります。

また、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)では電源供給が可能になり、家電を長時間使うことができます。

JAFユーザーテスト「災害時におけるクルマからの電源供給」

⑥その他

その他には、日本気象協会の「自宅で3日間過ごす時に必要な備蓄品」は、何がどれだけいるのかを具体的な数を記載しているのでぜひ参考にして下さい。

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