お金をかけずに快適な住宅とする方法

住まいの環境

住宅を購入する際に断熱性を考えられる方が多くなっています。夏は涼しく冬暖かい、しかも省エネルギー、そんな当たり前の住まいを提供する住宅メーカーや工務店も多くなってきています。

しかし、それなりの断熱性能を確保しようとするとどうしてもお金がかかってしまいます。そこであまりお金をかけずに快適な住宅とするための方法があります。それが「日射遮蔽スクリーン」と「断熱ブラインド」です。

お金をかけずに快適な住宅とする方法

日射遮蔽スクリーン

建物内側に取り付けるカーテン等で日射を遮蔽したとしても、窓を通過してカーテン等の表面に当たった熱のほとんどは室内に放熱されてしまい、室温が上昇してしまいます。一般的には内部につけるカーテンは日射熱を約40%しか遮れません。

一方で、外付けの日射遮蔽スクリーンは外部で日射を遮蔽するので、カーテン等よりも遮蔽効果が非常に高く、日射熱を約80%遮れます。

YKKap「アウターシェード」
写真:YKKap「アウターシェード」

建物は真南に向けると、冬の日射取得が最大になり、かつ夏は日射が斜めから差し込む時間帯でも庇の効果を最大にできます。

しかし、真南に建物配置ができない場合や、特に夏に庇が効かない時間帯でも外部シェードであれば遮ることができます。

また、春分時の高い太陽高度でもシェードを開けて日射を取得でき、逆に秋分時に低い太陽高度ではシェードを締めて日射を遮ることができます。

外付け窓用遮熱スクリーン
表:SEIKI「外付け窓用遮熱スクリーン」

開口部から熱が流入しないようサッシの性能を上げようとすると大変コストが高くなってしまいますが、日射遮蔽スクリーンはコストを抑え手軽に設置できます。

注意点として、シェードは色によって日射遮蔽が異なるため、日射遮蔽率80%以上の色を選ぶことです。

断熱ブラインド

南面の掃き出し窓にトリプルガラスを採用するとかなりのコストUPになります。しかし、ペアガラスは日射取得が高く、日射の多い地域であればペアガラスの暖房負荷は高くなります。

また、日没後の熱損失はトリプルガラスより大きくなるので、それを補填するのが「ハニカムブラインド」です。

ハニカムブラインド
図:PVソーラーハウス協会「ハニカム構造・断熱ブラインド」

これを設置すれば、「アルミサッシ+シングルガラス」のU値6.5がU値2.4程度まで向上します。

例えば「樹脂サッシ+ペアガラス」では、

①樹脂サッシ+ペア熱貫流1.5W/㎡K⇒熱抵抗値=0.667㎡kW

②ハニカムブラインド熱貫流3.8W/㎡K⇒熱抵抗値=0.263㎡kW

①+②=熱抵抗値=0.930㎡kW ⇒熱貫流率1.075W/㎡K

この数値は「樹脂サッシ+トリプルガラス」の窓と同等の性能になります。特に南面の大きな窓では、夜間の断熱性能を高める効果が高くなります。以下にハニカムブラインド空気厚と各サッシの熱貫流率を抜粋します。

ハニカム構造・断熱ブラインド熱還流率
表:PVソーラーハウス協会「ハニカム構造・断熱ブラインド」

ちなみに一条工務店はこの組み合わせを標準仕様(一条工務店の樹脂サッシにトリプルハニカムシェードで熱貫流率=0.6)としています。

また、公的な融資や補助金などの申請に用いるUA値などにはこの製品は組み込めません。また結露リスクがあることには注意が必要です。

人の体感温度を優先しよう

人の体感は窓、床、天井、壁の断熱性能と密接な関係があります。体感しやすい順番としては、窓⇒床⇒屋根となっています。これは、住宅全体の熱損失の値を数値で示した内容とは異なっているため注意が必要です。

熱損失
図:PVソーラーハウス協会「ハニカム構造・断熱ブラインド」

特に床の体感温度はお客様満足度と密接な関係があります。「HEAT20設計ガイドブック」には、G1,G2の室温低下状況が示されており参考になります。

図:HEAT20設計ガイドブック「台所 朝5時の床表面温度」

早朝のキッチンの床の温度はG2で15.7℃、G1で14.1℃になっています。過去の調査でも、室温20℃で床17℃よりも室温17℃で床20℃の方か満足度が高い結果になり、さらに床が21℃を超えると満足度が劇的に変わることが分かっています。

多くの工務店はまず壁の断熱性能に注目しがちですが、お客様の多くは床の体感温度の方により敏感に感じています。これは頭が冷えるより足先がまず冷えることと合致しています。

そのような意味で、壁の断熱性能よりも床の断熱性能を上げることを考えるべきです。

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