暑さの7割、寒さの6割は窓が原因です。つまり部屋に日光が差し込んでいるか、日影になっているかで決定的に夏は暑さ、冬は暖かさが違います。
住まいにとって日射は、夏は最大の敵、冬は強い味方ですが、夏の日射は工夫することで避けることができますが、冬の日射は極めて取り込むことは難しいです。
このような特性を正確に理解している人は意外に少ないです。まずは最初に知っておかなければならない開口部の基本的なセオリーを一緒に見てみましょう。
暑さの7割、寒さの6割は窓が原因
夏の窓は遮熱
多くの住宅会社が高断熱化に取組み、冬でも暖かい住宅が多くなりつつあります。
しかし、夏の日射遮蔽に対して何も考えていない住宅の場合、高断熱住宅の屋内は夏、普通の住宅より暑くなります。
断熱化だけは力を入れて取り組んでいながら、日射遮蔽に関して何も考えず、その結果「冬は暖かいが、夏は暑くてたまらない」という住宅も少なくないように思います。
夏は日射熱によって室温が上昇します。この建物内に侵入しようとする太陽熱をうまく遮ることが大切です。
カーテンのような内付けの場合は、窓を透過してカーテンの表面に当たる熱のほとんどが室内に放熱されてしまいます。
一方、すだれのような外付けの場合は、屋外で日射熱を遮蔽し大気に放熱しますので、内付けに比べて日射遮蔽効果が高まります。また、窓から遮蔽物までの距離が遠いほど、遮蔽効果が高くなります。
このように内側での遮蔽は、日射熱を4割しかカットできないのに対して外側だと8割カットできます。外側で日射を遮る方が効果的です。
前回のブログでは、窓の断熱性能について書きました。
ここで紹介したペアガラス(複層ガラス)も同じ理由で室外側のガラスにLow-E(ローイー)と言う膜をガラスに施すことで、日射を遮ることができます(遮熱型)。室内側の熱を逃がさないようにすることもできます(断熱型)。
新築の場合、南面は開口部を大きく採ることが多いので、遮熱Low-Eガラス、大きな庇(ひさし)もしくはアウターシェードを設置し、東西北面ではあまり窓面積を大きくせず面、断熱Low-Eガラスとすることが考えられます。
冬の窓は取得
冬の日射の効果を高めることに関しては、既存住宅では可能な対策がほとんどありません。日射がある日中はカーテンを開けて日射を室内に取り込み、寒い時にはカーテンや雨戸を閉めることが最も効果的な寒さ対策と言えます。
下図は窓の付属品を加味した場合の窓の熱貫流率を比較したものです。値が小さいほど断熱効果が高くなります。
アルミサッシの単板ガラスでも、カーテンや障子を閉めれば複層ガラス並の断熱効果が期待できます。最近は、裏地が施されていることによって、そこに空気の層をつくり出し、熱を遮断する断熱カーテンなども売り出されています。
もし、購入されるのであればきちんとした数字で性能評価したものをお勧めします。ただし、窓の温度が下がりますので窓での結露は防止にはならないことにご注意下さい。