長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅を指します。
長期優良住宅の最大のメリットは、住宅ローン控除額が大きく、登録免許税や不動産取得税、固定資産税にも優遇があります。
一方で、認定を受けるために技術審査や認定手数料で5万~6万円程度となり、さらに、長期優良住宅の認定基準を満たすための建築費は1.2~1.3倍程度になることが多いです。
また、認定を受けていない一般住宅でも高断熱住宅など、質が高い住宅を提供する住宅メーカーや工務店が数多くあります。
今回は長期優良住宅の断熱性能に絞り、どのくらいの性能なのかを考えてみましょう。
長期優良住宅の断熱性能とは
長期優良住宅の最低体感温度はどれくらい?
まず長期優良住宅のUA値を0.87以下にすることが必要です。UA値とは、外壁や窓から熱の逃げる(又は熱が入り込む)度合いを示す熱貫流のことで、住宅の断熱性能を表しています。
この断熱性のレベルには様々な規格があり、長期優良住宅は最低限の基準になります。
では、このUA値0.87の数値はどの程度の断熱能力があるのか?
長期優良住宅(6地域の省エネ基準)では、「冬の最低体感温度が概ね8℃を下回らない性能」というのが一般的な見解です。
HEAT20のG2水準が0.46で、「冬の最低体感温度が概ね13℃を下回らない性能」とされていますので、ここまであればかなり暖かい住宅に住んでいるという実感があります。
ちなみに、ZEHの0.6は概ね10℃を下回らないといったところだと思います。私自身の体感では、この10℃を下回ると室内でもかなり寒く感じるのではないでしょうか?
次にUA値と年間電気代の関係についてみてみましょう。
UA値と年間電気代の関係
実際には、気密性や使用する冷暖房器具、連続か間欠暖房なのかなどによって年間の電気代は大きく変化しますが、あくまでも一般的な傾向として捉えてください。
長期優良住宅(次世代省エネ基準)と比べてHEAT-20のG2レベルでは、約半分の年間電気代となっています。先ほどの冬の最低体感温度が8℃⇒13℃で、かつ電気代も半分になることを考えれば、高断熱住宅の一つの目安になると思います。ただし、その分建築コストは大きくなります。
これは、長期優良住宅からG2レベルに変更したとしても建築コストアップ分を十分吸収できるような金額ではありません。
なので、長期優良住宅の「冬の最低体感温度が概ね8℃を下回らない性能」をどう評価し、また年間16.7万円の電気代が高いと感じるかは、非情に難しい問題です。
暖かさ(寒さ)を感じる感覚は人それぞれみんな違うし、気密性能との関係もかなり影響されます。
ちなみに、長期優良住宅の基本性能の中に気密性能を定めている項目ないので、断熱性能だけよくしても気密性能が良くなければ、規程の断熱効果を出せません。
このような背景があるため、気密性を1.0以下程度にして、建築コストアップを抑えつつ、光熱比を下げるためにZEH(UA値0.6)とすることで費用対効果のバランス良いと感じる方が多いです。
次回は、少し専門的になりますが、このUA値で一定の値をクリアするために何をすべきか?言い換えれば、UAは、どのようなファクターで変化するかを考えてみたいと思います。