被災後の被害判定に悩まない(パート2)

地震被害

被災後、一番大変な時に直面する課題が被害判定です。この被害判定の経験は人生の中で1度あるかないかのため、なかなか共有ができません。

建物の構造的な被害状況を正確に知ることが大切ですが、被害判定には目的に応じて種類があり、さらに判定結果が異なることから、それが入り乱れて混乱を引き起こします。

被災した後、混乱しないように事前に知っておきましょう。

前のブログでは、「応急危険度判定」「被災度区分判定」を説明しました。

このブログでは、「罹災証明」と「地震保険」について確認しましょう。

被災後の被害判定に悩まない(パート2)

被害後の判定は以下の表のように進みます。今回は一番右の③を確認します。

判定の流れ
図:酒田市HP「地震発生後の被災建物の調査区分」より

③罹災証明認定基準による判定

市町村が、自然災害などにより住家などが破損した場合、その程度を国の基準に基づき判定し、証明するもので、この証明(罹災証明書)は、保険の請求や税の減免などの手続きに必要とされ、国の各種救援措置もこの罹災判定によって決まる重要なものです。

罹災証明書
表:社団法人大阪府建築士会「被害認定調査マニュアル」より

この罹災証明を受けるための流れは以下になります。

罹災証明の流れ
表:社団法人大阪府建築士会「被害認定調査マニュアル」より

この損害の割合の判定内容を詳しく確認すると、

被害の程度と認定基準
表:社団法人大阪府建築士会「被害認定調査マニュアル」より

これらに、「半壊に至らない」を含めた4区分で判定します。

また、被害認定調査は第1次、第2次調査の2段階で行われます。

2段階の調査
表:社団法人大阪府建築士会「被害認定調査マニュアル」より

罹災証明は、居住者が市町村に申請手続きをし、認定を受けるものですが、主要構造部を共有しているマンションでは認定を受けるのに難しさがあります。

例えば、東日本大震災時には、マンションは理事長の申請により管理組合として棟ごとに認定を受けることができましたが、このような認定の仕方が、法律の解釈として、全国で共有されていません。

マンションとして認定を受けると、住民全世帯(区分所有者ではありません)に罹災証明書が発行されます。

罹災証明認定基準による判定は、目視で確認できる外形的な破損具合で判断される部分が大きいです。

よって、必ずしも実際の建物の主要構造部の被害状況を表すものではありません。

建物が修復可能か、どのような修復が必要かを判断するのに不可欠な主要構造部(柱や梁や耐震壁)の損傷具合については「②被災度区分判定」によります。

その他、地震保険の損害認定基準による判定

これら以外にも、地震保険による判定があります。損害の認定については損害保険業界で統一した基準があります。

損害認定は可能な限り迅速・的確に行って速やかに保険金を支払うことで復興を進められるよう4ランクのみの判定になります。

保険金額と損害
表:保険相談ナビ「地震保険とは?」

主要構造部の損害額が建物の時価の何%かの判定は、保険会社の基礎書類のひとつである「事業方法書」の中の「地震保険損害査定要綱」で定められています。

そのうち、「主要構造部の被害程度による認定基準」が、建物の各構成部分の被害程度に着目した損害認定基準が明示されていることから、この基準に基づき行うことを原則としています。

ただし、具体的な判定は、建物すべてで総合的に判断する訳ではありません。

例えばマンションなどの鉄筋コンクリート建物の判定は、最上階を除き、一番被害の大きい階の柱、梁の状況を見ることになります。そして、さらに柱と梁で損害の大きい方について綿密に調べます。

方法としては、1階柱の被害が一番大きかったとすると、1階の全部の柱を調べて、柱のクラックを、クラックスケールにより「ひび割れ」の幅で4つのレベルに分けます。

ひび割れのレベル(何柱/全柱)を算出して、損害認定基準表から損害割合を出して、4つのレベルを全部合わせたものを、全体の損害割合とします。

損害認定基準(鉄筋コンクリート造)
表:損保保険ジャパン「地震のしおり」より

その損害割合が、5%、30%、60%という損害割合の閾値を越えるかどうかで一部損、小半損、大半損、全損に分かれます。

木造住宅(在来工法)では、軸組、屋根、基礎、外壁の損傷度合により判定します。

損害認定基準(木造)
表:損保保険ジャパン「地震のしおり」より

損害の程度は4つのランクにより判定されるので、「小半損」と「一部損」の支払い割合に6倍の差、「小半損」と「大半損」では2倍があることから、どちらと判定されるかで支払われる金額が大きく変わります。

例えばマンションでよくあるケースとして、第1次判定(場合により第3次まである)で、ぎりぎりの数値だったマンションは、全力を挙げてクラックを洗い出して、しっかり見てもらえるように備えなければなりません。

ある被災マンションでは、保険会社の第3次判定に備えて、すべてのクラックを見逃さないようシールを張って、No.を打って管理されていました。

また、専有部分や専用使用部分からしか確認できない柱についても住民総出でクラックを洗い出して、「一部損」から「半損」に認定を変えることができました。

その他にも、専門家に依頼して、仕上げのタイルの細いクラックからその下の柱の破損状況を推測してタイルをはがし、その柱の状況を調査員に見せることで、認定結果を変えさせたという事例もたくさんあります。

このように住民が力を合わせて、外の専門家も呼び込み全力をつくしたマンションと、何もしないで調査員の判断に従ったところでは、その結果に差が出てしまうことがあります。

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