関東大震災の可能性

地震被害

政府は、今後30年以内にM7クラスの地震が70%の確率で起こると予測しています。

関東周辺で昨年(2021年)、東日本大震災以降で10年ぶりに震度5強を観測しました。震源は千葉県北西部でM5.9で、首都直下地震の想定より遥かに小さい地震でしたが、交通マヒや停電などトラブルが多発しました。

地震学者が懸念したのが、政府想定の19パターンの首都直下地震の被害想定の中で、震源地が同じ位置(④千葉市直下地震Mw7.3)だった点です。地震規模が大きければ、首都直下型地震の可能性があったと考えられています。

首都直下地震(M7クラス、19地震)の震度分布
首都直下地震(M7クラス、19地震)の震度分布
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/jikkoukaigi/03/pdf/1-1.pdf

関東でM7クラスの地震を考えると、

  • 1703年 元禄江戸地震 M8.2
  • 1782年 天明小田原地震 M7.0
  • 1855年 安政江戸地震 M6.9
  • 1894年 明治東京地震 M7.0
  • 1923年 関東大震災 M8.2

このように200年で5回の直下型地震が発生しており、単純計算で40年に1度発生し、その後100年間はM7クラスの地震は発生していな状況です。

政府想定の最悪のシナリオで死者は約2万3千人、経済被害は95兆円に達すると想定されています。

富士山噴火はありえるか

地震以外でも不穏な動きとして、伊豆大島のマグマだまり、群発地震、山体膨張が懸念されています。

35年前に三原山が噴火、全島避難が発令されました。三原山は35〜40年の周期で噴火しており、地殻変動が観測されており、マグマの供給が増加しており、火山活動は“ややたかまった状態”にあります。

伊豆大島では、大規模な噴火が100〜200年周期で起きており、前回の大規模噴火は1777年安永噴火(245年前)です。このことからも専門家が指摘する地震活動の活発期に入っているということが分かります。

一方で富士山の噴火は、1707年宝永噴火で200年貯めたマグマが吹き出しました。その宝永噴火から300年が経過しており、単純比例で300年間のマグマが蓄積されているとも言えます。

実は、その噴火の引き金となりかねなかった地震が東日本大震災2011年3月11日の4日後に起きています。静岡県東部で起きた震度6強の地震は、震源が富士山の直下14kmの地点で、マグマだまり直上で起きたと言われています。この地震以降は富士山周辺で地震は起きていませんでしたが、2021年12月3日に最大震度5弱の地震は、富士山噴火への懸念となりました。

噴火すれば、降灰は関東にも及び、交通網の遮断、電波障害、停電など首都機能をマヒすることになります。

都心部オフィスビル倒壊の可能性

1995年1月17日阪神淡路大震災で初めて顕在化した被害が、オフィスビルの倒壊です。被害報告では、3階以上の中高層建築物の倒壊は約4,400棟に上ります。

特に古い基準で建てられたビルの構造的なリスクが顕在化しています。それが「中間層崩壊」という現象です。多くの人が出入りするオフィスビル20棟以上で発生が確認されています。

この中間層崩壊でよく知られているのが神戸市役所の建物です。専門家が市役所の構造を分析したところ、5階は6階と比べて一部壁が薄く、柱が細くなっていました。さらに5階の途中でSRC造の鉄骨が5階の中間からないRC構造に変わっていました。

神戸市役所の被災状況
https://www.city.katsushika.lg.jp/res/projects/default_project/_page/001/006/244/21972-6.pdf

こういった旧耐震の建物は、上階ほど揺れが大きくなるという地震の特性が十分に加味されておらず、中間層崩壊となった原因言われています。

人が沢山いた昼間に起きていたらと想像すると、恐ろしい破壊形式です。しかし、その教訓は活かされていないのが現状です。

実際、倒壊のリスクのあるビルが都心部にどのくらいあるのかは、現実は分かっていません。阪神淡路大震災は早朝起きた地震だったため、このような崩壊で亡くなった方はいませんでした。しかし、それが耐震化の遅れにつながっている面もあります。

リスクのあるオフィスビルの耐震化には、つまり耐震改修にはコストが必要ですが、国や自治体が負担する補助範囲は、避難所、多数の人が利用する建築物(3階建かつ1,000m2以上)です。このような条件に満たない建物は原則対象外になります。

専門家は大都市では倒壊によるリスクが高いと分析しています。理由は、多く人の集まるエリアでは、外装のみ改修されたビルが多く、一見古い建物には見えないからです。そのことを知らずに私たちは使い、その下を歩いていることになります。

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