2022年1月22日午前1時8分頃、大分県、宮崎県で最大震度5強を観測する地震が発生し、震源地は日向灘で、震源の深さ45km、地震規模はマグニチュード6.6となっています。
被害状況は、大分県では10ヶ所以上で水道管が破裂し、道路が冠水しており、延岡市ではライフラインの被害も拡大しています。大分市内の駐車場では約75mにわたる地割れが発生し、佐伯市ではブロック塀が倒壊するなどの被害が確認されています。
「南海トラフ地震臨時情報」の発表には至らず
「南海トラフ地震臨時情報」は、内海トラフ巨大地震の発生の可能性が高まっていることを国民に知らせる情報で、巨大地震の想定震源域内でM6.8以上の地震が発生した場合、気象庁が臨時の評価検討会を開くことになっています。
今回の地震は、南海トラフとの関係を調査するマグニチュード基準未満の地震であったため、気象庁は地震活動を注意深く監視するとしています。
南海トラフとの関係
列島周辺で震度5強程度の強い揺れが頻発しており、今回の地震は、M6.8未満でしたが、しかしながら南海トラフ巨大地震の想定震源域で起きています。
そして多くの専門家が、巨大地震への地震活動が活発化していると指摘しています。
東海大学海洋研究所の長尾客員教授は「着実に南海トラフ巨大地震への階段を上がっていると考えても良い」と述べています。また武蔵野学院大学島村特任教授は「フィリピン海プレートが起こした地震で、震源がより浅く、マグニチュードが大きくなれば津波が起きる可能性もあった」と指摘しています。
因みに、2022年1月13日に開かれた政府の調査委員会では、南海トラフ巨大地震(M8〜9クラス)の40年以内の発生確率を90%に引き上げています。
また、今回の地震は、日向灘で規模の大きい地震が起きているため、将来の南海トラフ巨大地震を誘発する可能性が最近の研究で明らかになっています。
この日向灘を震源とした震度5弱以上の地震は2000年以降、2002年11月、2006年3月、2019年5月の3回発生しています。また記憶に新しい地震として、2016年4月には最大震度7を2度観測した熊本地震があります。
スロースリップを注視
日向灘で地震が起きた後、体で感じないような“スロースリップ”という、ゆっくり動く地震が起き出すと重要な発表につながる可能性があります。
スロースリップはスロー地震と呼ばれる現象の一つで、それ自体が直接被害を発生させるものではありませんが、南海トラフ地震など、巨大地震との関連性が指摘されています。
今年に入って、日本に関係する太平洋プレートの上にある小笠原諸島で震度5強の地震が発生しており、南太平洋のトンガの海底火山も噴火しています。また、昨年来、トカラ列島や沖縄、台湾周辺でも地震が頻発しており、南海トラフ巨大地震につながる可能性があるため、これらの動きを注視していきたいと思います。