山陰地方(島根・鳥取)の地震と津波

地震被害

島根県・鳥取県は南海トラフに面した西日本の太平洋沿岸域に比べて、比較的地震の少ない場所というイメージがあるかもしれません。

山陰地方は地震が起きるプレート境界面から離れているため、海溝型地震による被害はあまりありません。しかし、今回の震源の浅い内陸地震は、山陰地方でも過去に何度も発生しています。

山陰地方(島根・鳥取)の地震と津波

1923年以降に発生した地震を調べると、島根県の中部から京都府の北部にかけての日本海沿岸域では、多くの大地震が発生しており、山陰地方の地震帯と呼ばれています。

山陰地方の地震
図:NHK備える防災「第2回  山陰地方の大地震とひずみ集中帯」より

山陰地方で発生した大地震で最も人的被害が大きかったのは、1927年の北丹後地震(M7.3)で、家屋の倒壊や火災による大きな被害が生じ、2900人以上が死亡しました。

1943年鳥取地震(M7.2)は、鳥取市の中心部の木造家屋の多くが倒壊するような壊滅的な被害をもたらし、およそ1100人の方が死亡しました。

さらに2000年鳥取県西部地震(M7.3)では、負傷者182名、全壊家屋435棟、住家半壊3,101棟、住家一部破損18,544棟等の被害が発生しましたが、幸い死者はありませんでした。

これら以外にも比較的規模が小さい地震も多発しています。

2002年9月鳥取県中・西部の地震(M5.5)では、鳥取県、岡山県及び島根県の一部で震度4を観測し、鳥取県内で住家一部破損8棟、がけ崩れ1箇所、ブロック塀破損4箇所等の被害が発生しました。

また、2016年10月鳥取県中部の地震(M6.6)では、鳥取県倉吉市、湯梨浜町、北栄町で震度6弱、鳥取県鳥取市、三朝町、岡山県真庭市、鏡野町で震度5強を観測し、負傷者32人、住家全壊18棟、住家半壊312棟、住家一部破損15062棟の被害が発生しました。

そして、2018年4月島根県西部を震源とするマグニチュードM6.1の地震が発生し、島根県大田市で震度5強、出雲市などで震度5弱を観測し、重軽傷9名、被害家屋は432棟に及ぶ被害が生じました。

鳥取県に被害を及ぼした主な地震

鳥取県の地震活動
表:政府地震本部「鳥取県の地震活動の特徴」より

島根県に被害を及ぼした主な地震

鳥取県の地震活動
表:政府地震本部「島根県の地震活動の特徴」より

このように過去に内陸地震が発生してきた山陰地方ですが、顕著な活断層はあまり見つかっていません。

しかし、現在では活断層の発達段階としては初期段階のものが多くみられる地域であることが分かっています。

今後も活断層がある場所と同程度に大地震が起こりやすい地域であると認識するべきです。

山陰地方を襲う津波

山陰地方にはプレート境界はなく、大きな津波襲来の可能性は低いと考えられていました。

しかし、2014年鳥取県地震防災調査研究委員会では、鳥取沿岸で津波痕跡のある3地震(1964年新潟地震、1983年日本海中部地震、1993年北海道南西沖地震)のモデルから、鳥取県岩美町で最大でも5.5m強の想定津波高になる試算結果を提示しました。

山陰地方で確認されている津波としては、1833年(天保4)出羽・越後・佐渡地震で生じた津波は、隠岐で最大波高8m、庄内地方で壊家475戸、津波による溺死者38人でした。

1964年新潟地震では、地震発生から約15分後には津波の第一波が来襲、新潟市では高さ4mに達し、その他にも佐渡島や粟島・島根県隠岐島でも冠水被害がありました。

1983年日本海中部地震では、当時日本海側で発生した最大級の地震であり、秋田県・青森県・山形県の日本海側で10mを超える津波による被害が出ました。山陰地方でも、隠岐、島根半島を中心に負傷者5人。住宅床上浸水141棟、床下浸水277棟、漁船被害317隻の被害がありました。

島根県の江の川などでも中流で川を遡る50cm以上の波が、はっきりと空撮で報道されています。

図:鳥取県地震防災調査研究委員会「過去に発生した津波の実績津波高さの整理」より
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