築25年の木造住宅を購入しよう考えて、住宅ローン減税を受ける方法がないか調べてみました。
住宅ローン減税には築後年数要件が定められており、要件をオーバーする中古住宅は住宅ローン減税の対象外となってしまいます。
- 非耐火住宅(木造住宅):築20年以内
- 耐火住宅(マンション):築25年以内
これらを超えてしまっても、住宅ローン減税を受けられる方法があります。その築後年数要件を緩和する方法は以下の3つです。
古い中古住宅でも住宅ローン減税は?建築確認済証がない場合!
引渡し前に耐震基準適合証明書を取得する
耐震基準適合証明書を取得することで、定められた一定基準値(耐震基準、築年数)を満たしているという証明ができます。
ただし、物件の引渡し(所有権移転)前までに耐震診断や必要に応じて改修工事を実施して売主が申請者となって取得する必要があります。
この売主が申請者となる部分があり、わざわざ手間かけても物件価格は変わらないし、買主も改修工事費用が分からないのでほとんどこの方法は見かけることがないです。
・所有権移転前に耐震診断を実施することについて売主の許可が必要あります。許可が得られない場合は2もしくは3となります。
・耐震診断の結果、現行の基準に満たないと判断された場合は改修工事が必要となり、所有権移転前に改修工事を実施することについて売主の許可が必要です。
※木造戸建ての場合、専門機関の調査データによると、旧耐震(昭和56年5月以前)の建物の9割以上、新耐震(昭和56年6月以降)の建物でも8割以上が基準を満たさず、耐震改修工事が必要であることがわかっています。このように高い確率で何らかの改修工事が必要と判定されます。
引渡し後に耐震改修工事を実施し耐震基準適合証明書を取得する
売主の協力が得られない場合は、引渡し前に仮申請のみを行って、耐震診断や改修工事は引渡し後に実施する方法があります。
・耐震改修工事の実施が要件です。引渡し後の耐震診断の結果、現行基準を満たすことが判明した場合は制度対象外となります。
・所有権移転後、居住開始までに改修工事を実施して証明書を取得する必要があります。
・木造住宅の場合に現実的な方法となりますが、手続きの進め方がややこしく、取引の進め方を誤ると住宅ローン減税の対象外になる恐れがあります。
※この方法の怖い所は、不動産売買契約後に耐震診断を実施し、耐震基準適合証明書の発行のために想定以上の改修費用が必要だと判明しても、そのことを理由に締結した不動産売買契約を解除することができないことです。
引渡し前に既存住宅売買瑕疵保険に加入する
引渡し前に瑕疵保険の現況検査を実施し、既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書を取得する方法です。耐震診断が現実的でない木造住宅以外の建物で有効な手段です。
宅建業者が売主の場合、売主である宅建業者が申し込みます。保険の申し込み前に住宅瑕疵担保責任保険法人での「事業者登録」が必要です。
なお、検査を行う場合の合格基準は、「瑕疵を補修すること」「新耐震基準に適した住宅であること」です。
・売主が宅建事業者の場合、瑕疵保険の加入手続きは売主である宅建業者が行います。瑕疵保険は任意の制度なので、売主である宅建業者が瑕疵保険の加入手続きを拒否した場合、買主側では瑕疵保険の手続きを行うことができなくなります。(不動産売買契約後では遅いので、買付申込時に取引の条件として売主である宅建業者と交渉材料にすることをお勧めします。)
以上の3つより、どれもハードルが高く、費用を考えると現実的でないことが分かります。
住宅ローン減税の築後年数要件の、非耐火住宅(木造住宅):築20年以内、耐火住宅(マンション):築25年以内を購入する方が良いという結論になりそうです。
建築確認済証がない場合!
築20年以上ともなると、図面はない、検査済証はない中古住宅を多く見かけます。建築確認済証は、建設当時の建築基準法上の適法性を確認できるのはもちろん、リフォームをする際に柱や耐力壁の位置を知るためにも必要になります。
書類の4ページ目に、耐火構造もしくは準耐火構造と記載されていれば、住宅ローンの適合検査を受けやすくなりますし、火災保険の掛け金も大幅に安くなります。
確認済証の紛失等により、その確認ができない場は、物件が立地する地域を所管する特定行政庁に問い合わせて、「台帳記載事項証明書」として交付できないかを確認しましましょう。
この台帳には、建築物の構造や用途等に加えて、確認済証や検査済証の交付年月日が記載されており、これらの記載事項が証明されることによって、当該建築物が完了検査を受けていることを金融機関等が確認することが出来ます。
ただし、当該市区町村が特定行政庁であっても、全ての物件の建築確認台帳があるとは限りません。物件の規模や構造等によっては、都道府県の所管になる場合があります。
また、建築時期等の条件によっては、台帳そのものが存在しない場合もあります。
特定行政庁になっている地方公共団体に台帳記載事項証明の制度があったとしても、建築確認台帳に記載されたすべての物件に対して証明が受けられるとは限りません。
民間の指定確認検査機関が建築確認等を行った物件については証明できない制度となっている場合もあります。