海で遊泳やマリンスポーツ中に突然雷が鳴り始めたという場合、海から上がろうとする人がいなければ、多くの人は海から離れようとしません。
しかし、過去の被害を考えれば、すぐに身を守ることが必要です。被害に遭わないためにも過去の落雷事故を確認しましょう。
海での雷には注意。落雷事故から学ぶ基礎知識。
多数の方がお亡くなりになった海での落雷事故は、1987年高知県で早朝サーフィン中の事故です。
波待ち中の一人に落雷し、近くにいた男女11人も落雷のショックにより気を失いました。事故を目撃した他のサーファー等によって12人全員が近くの病院に収容されました。しかし、落雷の直撃を受けた1人を含む6人が死亡し、6人が負傷する結果となりました。
当時の気象は雷雨、南南西の風2メートル、波高0.5~1メートル、視界1~2kmで雷注意報が発令中でした。
まず学ばなければならないのは、雷雲の移動速度はとても速いことです。雷雲は最大時速40kmで移動すると言われています。1分で約700mも動くため、遠くで雷音が轟いたとしてもあっという間に近づきます。この場合、即座に行動に移さないと落雷の被害に遭うかもしれません。
次に、海では高さのあるものがないため、人に直撃するリスクが高まります。また周辺に落ちたとしても、海面を伝達した雷に感電する可能性もあります。雷の海面伝達範囲は30m前後と言われています。
一方で、海から上がり高い木の下に避難というが最も危険です。この木に雷が落ちれば、側撃雷を受けて死亡するケースが多くあります。
この事例では、3人が木の下に避難しており、木に最も近かった人が死亡、次に近かった人は洋服が裂けやけどを負い、最も離れていた人は比較的軽傷で済みました。
この場合は“約4m以上離れて木のてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲(保護域)”にいれば安全であることを物語っています。
現実には、雷雨の中で木から4m離れてしまうとずぶ濡れになってしまい、勇気のいる行動ですが、避難場所がない場合は、保護域内で足をそろえてしゃがみ、とにかく命を守ることが大事です。
落雷から身を守るポイント
専門家によると、すぐに海から上がり、避雷針のある建物に入ること。もし、近くにない場合には、車に避難すること。
この場合は、完全に安全とは言えないものの、落雷しても電気は車体を通じて地面に逃げるということです。車内では窓を閉め切り、ガラスや金属製の部品には触れないようにしてください。
上記の被害事例から学べることは、落雷が起き始めてからでは遅いということです。特に夏場の急速に発達する積乱雲に対しては、空模様が怪しくなった段階で避難することが大事です。
・早めに構造物の中や車中に退避すること!
万一、周囲に構造物がない場合は、保護域内で“雷しゃがみ”をして雷雲の通過を待ちましょう。
・こまめに気象情報のチェック!
気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」などで周囲の雷雲をチェックする習慣を身につけましょう。
・万一雷撃を受けた場合は、直ちに心臓マッサージを!
直撃雷を受けた場合でも、早い対応(心臓蘇生)により一命を取り留められる可能性があります。心臓マッサージやAEDがある場合は、AEDによる電気ショックを実施しましょう。
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