なぜガス爆発事故は起きたのか?事故の原因を確認しよう。

事故など

2020年7月、福島県郡山市の「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で大規模な爆発が起こり、1人が死亡、通行人など18人が負傷しました。

2018年12月にも、札幌市豊平区の「アパマンショップ平岸駅前店」が入居する木造2階建てのビルで爆発が発生し、同店と隣接する居酒屋が倒壊・炎上して、52人が負傷しまいた。

また、都内のマンションでも毎年のようにガス爆発火災事故が発生しています。

このような事故の原因を知り、家庭でも起こりうる爆発事故を考えましょう。

なぜガス爆発事故は起きたのか?事故の原因を確認しよう。

しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店

警察や消防が事故原因などの調査を進めるなかで、店舗には屋外にプロパンガスのボンベ6本が設置されており、爆発当時はガスの臭いがしていたことからガス漏れの可能性が高いとしています。

しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店
写真:福島民報「飲食店爆発1人死亡 郡山 改装工事中、ガス漏れか」

また、前日に店内で改装工事をした作業員の1人が「店内でガス臭がしていた」と県警や消防に話していることが関係者への取材で分かっています。

その原因として、店の外に設置されていたプロパンガスのボンベから店内にのびていたガス管のうち、店内の厨房近くにあった部分に、爆発よりも前にできたと見られる損傷があったことが分かっています。

一般に、ガス漏れ火災警報設備で検知して警報音を鳴らしたり、自動的にガスの供給を止めたりして対処できますが、今回の事故ではそれが検知されていません。

気密性の高い建物で可燃性ガスが充満している場合は、鍵穴に鍵を差し込んだり、扉を開閉したりする際に発生する静電気や、照明のスイッチを入れる際に発生するスパークなどによって、火が付き、爆発します。

追加(2021年1月)

経済産業省は2020年12月11日、産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会液化石油ガス小委員会で事故の調査結果を報告しました。

調査結果を受けて経産省は全国LPガス協会などに対して、配管の設置状況や腐食状況を確認するよう通知しています。

この通知では、以下の6つの懸念があると整理しています。

(a)配管の腐食

(b)水の影響を受ける恐れがある場所で白管が使用されていた

(c)コンクリート面など導電性の支持面に直接触れている状態で白管が使用されていた

(d)配管図面と事故当時の設置状況の相違

(e)定期点検・調査で配管の状態や腐食防止措置などは「良」と判定されていた

(f)警報器とメーターを連動するよう求めたが改善されていなかった

事故後に飛散した設備の部品などを組み合わせて配置状況を検証した結果、厨房のシンク下を通るSGP配管(白管)に腐食があり。腐食は床面側を中心に複数確認されています。

さらに点検・調査記録を確認したところ、19年12月の調査時点で配管の状態や腐食防止措置に問題はないと報告されていました。

このため点検時に腐食を見つけられず、さらに腐食が進み、生じた亀裂からガス漏れしたのではないかということ。

また、事故当日に警報器が鳴動したことを確認した人はおらず、検知器・警報器が作動した記録も残っていません。警報器とガスメーターを連動させていれば、警報器が一定量のガス漏れを検知すると、自動でガスの供給を遮断するため事故を防げた可能性もあると指摘されています。

アパマンショップ平岸駅前店

北海道警察などの捜査によると、店舗改装に伴い、従業員が除菌消臭スプレー240本を廃棄するため、噴射して空にする作業をしていましたが、窓は締め切られたままで換気されていませんでした。

アパマンショップ平岸駅前店
写真:朝日新聞デジタル「札幌のアパマン爆発、隣接住民30人が損害賠償求め提訴」

その後、湯沸かし器を点けた際に、店舗内に充満したガスに引火し、爆発が起きました。さらに爆発の衝撃でプロパンガスボンベの配管が外れ、可燃性のガスが流出したことも火災が広がった原因とみられています。

爆発事故で怪我をしたのは52人で物的被害は建物41棟、車両32台に及び、被害者への賠償金や建物の復旧費用など賠償金総額が10億700万円に及ぶことが分かっています。

東京都内マンションでもガス漏えい爆発火災事故

この事故では、爆発火災によりマンションの室内の一部を損傷し、負傷者が1名でました。原因は、ファンヒーターに接続する接続具のゴムの亀裂からガスが漏えいし、何らかの原因で引火、爆発したものと推定されています。

このような都市ガス事故は毎年のように起こっており、経済産業省では「ガス事故発生状況」として毎年公表しています。

事故原因の多くは、「ガス機器や配管の劣化」「正しくないガス機器の使い方」によりガスが漏えいして、引火するケースです(下図より)。

警告
図:経済産業省「ガス臭いと感じたら、すぐガス事業者へ連絡を!」

カセットボンベ・スプレー缶の爆発事故に注意

カセットコンロの誤った取扱いにより、カセットボンベが爆発する事故が確認されています。

また、殺虫剤、制汗剤など様々な用途に使用されているスプレー缶も、取り扱いを誤ると爆発する恐れがあります。

図:富士山南東消防本部「カセットボンベ・スプレー缶の爆発事故に注意しましょう」より

電磁調理器上で使用しない

コンロなどを電磁調理器の上で使用あるいは保管しないでください。

電磁調理器の電源が間違って入ってしまった場合、カセットボンベが過熱し、爆発することがあります。

大きな調理器具を使用しない

コンロをおおうような大きな調理器具は使用しないでください。

熱がこもりやすくなり、カセットボンベが過熱し、爆発することがあります。

コンロに指定されてるボンベを使用する

必ずご使用のカセットコンロ専用のカセットボンベを使用してください。

その他のカセットボンベは絶対に使用しないでください。

スプレー缶も同じく、爆発事故に注意する必要があります。

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