夏の熱中症と冬のヒートショック。住宅内で亡くなる人はどっちが多い?

事故など

熱中症で亡くなる人は年間2000人弱、冬のヒートショックで亡くなる人は年間2万人弱です。夏暑くて死ぬ人より、冬に家が寒くて死ぬが圧倒的に多い現実があります。

住宅内で熱中症で亡くなる人の主な原因は、エアコンや扇風機をつけないからです。

また、ヒートショックで亡くなる人が少ないのは沖縄と北海道です。

どちらも家の中の温度管理を適切に行えば、熱中症もヒートテック死は防ぐことができることを示しています。

これらを住まいの側面から確認しましょう。

夏の熱中症と冬のヒートショック。住宅内で亡くなる人はどっちが多い?

室内での熱中症。特にマンションは注意。

自宅で熱中症になる高齢者の割合が多く、2010年の東京都における熱中症患者の41%が住宅内で発生しており、そのうち72%が65歳以上の高齢者です。

熱中症になる高齢者の割合
図:厚生労働省「熱中症対策に関する検討会」より

高齢の方は暑さを感じにくく、それがゆえにエアコンを入れるタイミングがわからなかったり、またトイレの回数を減らしたいなどの理由で水分をあまり摂らなかったりするので、特に熱中症になりやすいと考えられます。

また、住宅内の熱中症の発生場所は、「居間・リビング」の39%に続き、「寝室・就寝中」が32%と多数を占めています。

住宅内の熱中症の発生場所
図:厚生労働省「熱中症対策に関する検討会」より

上記資料では、木造戸建て住宅に比べて鉄筋コンクリート造りの集合住宅(マンション)での熱中症が多くなっています。

理由として、鉄筋コンクリートは蓄熱性が高いため夜間に温度が低下せず、朝まで暑い状態が続くからです。

特に最上階の住戸では、鉄筋コンクリートに日中の熱がこもるだけでなく、天井面からの放射熱によって住宅内の温度が上昇するため、注意が必要です。

熱中症は「暑い」と感じたときには、既に遅い場合もあります。節電を意識しすぎて、エアコンを使わないことは避けて下さい。

ちなみに、エアコンはつけたり消したりすれば消費電力が多くなり電気代は高くなるため、一定の室温で継続的に運転させて、電気代を安くすることを心がけて下さい。

北海道や沖縄でヒートショックで亡くなる人は少ない

あたり前ですが、沖縄は暖かいからヒートショックで亡くなる人は少ないです、しかし、日本で最も寒いエリアである北海道で亡くなる人が少ないのはなぜでしょうか。

ヒートショックで亡くなる人の多くは、入浴中に亡くなっています。冬場の入浴では、暖かい居間から寒い風呂場へ移動するため、熱を奪われまいとして血管が縮み、血圧が上がります。お湯につかると血管が広がって急に血圧が下がり、血圧が何回も変動することになります。

ヒートショックで亡くなる人
図:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」より

高血圧や糖尿病、脂質異常症など動脈硬化が進行した高齢者は、血圧の上昇による心筋梗塞、致命的な不整脈、脳梗塞や脳出血などを引き起こしやすくなっています。

また、血圧が低下することでめまいやふらつきが起き、または意識を失って、転倒や溺死という結果を引き起こすこともあります。

寒いトイレでも似たようなことが起こりえます。トイレも、排便でいきむと血圧が上がり、排便後急激に血圧が低下するため、ヒートショックが起こりやすくなります。

北海道でヒートショックで亡くなる人が少ないのは、住宅の断熱及び蓄熱性能が高く、家中全部が暖かいからです。つまり、冬が寒くて亡くなるではなく、家の中に寒いところがあるから亡くなるのです。

そのような意味で、脱衣所やトイレを小型の暖房器(温風式)で暖めることは対策として有効です。

ちなみに、北海道では住まいの断熱対策としてガラス窓を複層ガラスにする、窓を二重窓にするという家が多くみられます。

複層ガラスとは、二枚ガラスになっていて、そのガラスの間に空気層が設けられている窓で、断熱効果がとても高いのが特徴です。

しかし、マンションではマンションの窓枠(サッシ)は共用部分にあたるため、自己判断で交換やリフォームをすることは基本的にできません。

その場合は、二重窓を既に設置されている窓の内側にもうひとつ窓を取り付けましょう。二重窓は、既存の窓との間に生まれる空気層が熱の伝わりを遮るので、断熱効果が上がります。

二重窓
図:YKKap「プラマードU」

開口部のガラスは、家の温度を大きく奪っていく部分になりやすいので、まずは窓から断熱対策をすることを考えてみましょう。

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