地下駐車場で閉じ込めこられて死亡する原因

事故など

2021年4月15日、東京都新宿区のマンション地下駐車場内で、消火設備が突然作動、駐車場に二酸化炭素が充満して作業をしていた4名が死亡する事故がありました。この事故は、地下駐車場の天井の石膏ボードを張り替えていた作業員が、誤って消火ボタンを押したとの証言がありました。

なぜ?消防設備の死亡事故(2021年4月20日)

地下駐車場では二酸化炭素を放出する消火設備が多く用いられています。火災を検知すると、起動装置が作動し、まずシャッターが下りて密閉します。そして二酸化炭素を放出、一瞬で二酸化炭素が充満して酸素の濃度を低下させて消火します。ちなみに二酸化炭素が充満すれば、ほぼ何も見えなくなります。

この二酸化炭素を放出する消火設備が原因で死傷者を出す事故は、駐車場やボイラー室などで相次いでいます。消防庁は点検時だけでなく、その他の工事を行う際も専門家を立ち会わせるように再三注意を促してきていました。

地下駐車場で閉じ込めこられて死亡する原因

これまでも、同じような事故は全国で相次いで起きています。2020年12月にも名古屋市内の立体駐車場で二酸化炭素の消火剤が放出され、1人が死亡しています。この事故でも、消火設備を作動させるボタンを別の作業員が誤って押した可能性が指摘されていました。

また12年9月にも、大阪市浪速区のマンション地下駐車場で二酸化炭素が充満し、住民が避難する騒ぎが起きており、老朽化したガス系消火設備の破損が原因とみられています。

一方で東京消防庁によると、同様の事故は、最近5年間に東京都内で6件発生しており、2021年1月に港区で2人が死亡、2020年1月には台東区、2017年2月には千代田区でけが人が出ています。

二酸化炭素を放出する消火設備は東京都内の立体駐車場など約3500棟に設置されています。これだけ多くの消化設備が設置される理由は、やはり安価で、かつ水や消火剤に比べて汚さないので復旧が早いからです。

二酸化炭素消火設備による酸素欠乏症

以下のように二酸化炭素消火設備による事故は過去にも沢山生じています。

発生年月日

都道府県

業種

被災状況

発生状況

原因

平成5年10月12日

東京

設備工事業

死亡1名

空調設備工事において削孔作業を行ったていたところ、現場事務所に設置されていた全域放出方式の二酸化炭素消火設備の電気配線に損傷を与えてしまい、警報装置が作動しないまま現場事務所に二酸化炭素が放出され、そこ立ち入った別の業者の労働者が、酸素欠乏空気により被災した。

①空調設備工事の元請事業者が事前に消火設備の電気配線の位置を確認しなかったため、下請業者もそれを知り得なかったこと。
②消火設備が作動した場合の対処方法及びその後の危険区域への立入禁止措置が定められておらず、関係者にも周知されていなかったこと。

平成5年11月5日

茨城

一般機械器具製造業

死亡1名

移動式の二酸化炭素消火設備の作動状況を点検するため、委託を受けた業者が工場内の切削屑回収ピットに二酸化炭素を放出した。その後しばらくして、整理作業のため当該ピット内に立ち入った構内下請業者の労働者が、酸素欠乏空気により被災した。

①点検作業を行うに当たって、関係者に対し事前の周知がなされていなかったこと。
②検査作業終了後、ピット内の酸素濃度を測定し、18%以上になるよう換気を行わなかったこと。
③酸素欠乏症に対する認識が不十分であったこと。

平成7年12月1日

東京

警備業

死亡2名

誤って立体駐車場のターンテーブル室に閉じこめられ退出しようとした会社員が、車両収納箇所の内部に設置された全域放出方式の二酸化炭素消火設備の起動ボタンを押してしまい、二酸化炭素が噴出した。異常警報信号を受け現場に駆けつけた警備員2名が、漏れ出た二酸化炭素により生じた酸素欠乏空気により被災した。1名はターンテーブル室、1名は廊下を挟んでターンテーブル室に隣接した管理人室で発見された。

①ターンテーブル室が、誤って入室した者が閉じ込められる危険がある構造であり、また照明がなく暗かったこと。
②警備会社において、警備箇所における二酸化炭素消火設備の設置が把握されていなかったこと。

平成9年 5月8日

大阪

金属製品製造業

休業4名

 使用済み缶を再生する事業場において、缶の研磨等の作業を行っていたところ、当該作業場所の近くの塗装ブースの火災を消火するために設置されていた局所放出方式の二酸化炭素消火設備が、経年劣化による配線の短絡のため誤作動し、突然警報ベルとともに二酸化炭素が放出され、酸素欠乏空気により被災した。

①消火設備の定期検査を怠っていたこと。
②二酸化炭素が放出された場合の排気が不十分であったこと。
③消火設備が作動した場合の対処方法について定められておらず、関係者にも周知されていなかったこと。
④消火設備を手動にしていなかったこと。

平成10年10月7日

東京

その他の建築工事業

軽症(休業見込1~2日)7名

 変電所建物耐震補強工事において、火災報知器を新設するため、ダイヤモンドカッターで3階ケーブル室と階段を区切るコンクリート壁に配管用穴を開ける作業を行っていたところ、壁内に埋め込まれていた全域放出方式の二酸化炭素消火設備のケーブルを収納した配管を切断してしまったため、当該消火設備が制御配線の短絡により誤作動し、ノズルが設置されていた1階変圧室(3室)に二酸化炭素が一斉に放出され、当該変圧室でアスベスト除去作業を行っていた労働者7名が、酸素欠乏空気により被災した。

二酸化炭素消火設備のケーブルを切断したこ
とにより制御配線が短絡し、当該消火設備が
誤作動したこと。

労務安全情報センター/二酸化炭素消火設備による酸素欠乏症より

二酸化炭素消火設備の誤放出で注意すべき点

同様の事故を起こさないために、次の事項にご注意しましょう(消防庁資料より)。

TVでは「消防の指導」をお願い程度の努力義務で放送していますが、実際は二酸化炭素消火設備を有する施設では、オーナー、管理者、業者などは、その内容や操作など周知徹底しなければならないという義務(責務)があります。なので法律の趣旨にしたがってきちんとした対応が求められます。

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