水難事故をなくす、「いざというときには浮いて待つ」

事故など

海も川も急に足が着かなくなったときが最も危険な瞬間です。溺れる時に最も多いパターンが、水の中で助けを求めようとして、手を振ろうとすることです。その行動によって体が沈むことに直結します。

手を上げると浮力になる腕部分が水面から離れるため体が沈み、また“助けて”と叫べば、肺の空気が一気にぬけるため体が一気に重くなります。一回の呼吸の失敗が命取りになり、溺れるのは一瞬のため、周りの人が気づきにくい側面もあります。

溺れた時にやってはいけないことをまとめると以下になります。

  • 直立の状態で立ってはいけない(立ち泳ぎ)/口が水面から出づらくなり呼吸ができない
  • 大きな声を出してはいけない(助けてNG)/息を吐いてしまうと肺から空気がなくなり、浮力がなくなる
  • 頭より上に手を上げてはいけない(手を振らない)/助けてと手を挙げると、腕の重さで頭が沈む

いざというときには浮いて待つ、これが水難学会や海上保安庁などが推奨している、溺れそうになった時に助かるためにできることです。大の字に仰向けに浮き、息を吸ってふくらませて、空気の浮力で浮くことができます。

海上保安庁/もしものときは「浮いて待て!」

呼吸をすれば一瞬は沈みますが、また貯めれば肺の空気で浮いてきます。またサンダルや運動靴も浮力を維持するためのツールとなるため、必ず履いて川遊びすることも大切です。

溺れた人を助けることはできない

足のつかない場所で溺れている人を助けようとして、泳いで近くまでいき、引っ張って足の着くところへ誘導しようとしても、引っ張ることはできません。人を抱えたまま泳ごうとした途端、自分も相手も沈むことになります。なぜなら自分の推進力だけでは相手の分を補うことができないからです。

つまり、自分自身の浮力がまず確保できないというところから始まるので、子供であろうが大人であろうが関係なく、このような結果になってしまいます。自分の浮力がないと相手にのしかかり、助けようとすれば沈めてしまうのです。その結果、相手が沈むと苦しくてもがいて、自分もつられて沈み、結局ふたりとも沈んでしまうのです。

このように特別な訓練を受け、経験がない限り、水面で浮いている人を助けることはほぼ不可能です。多くの専門家が“絶対に無理”と言います。浮力を得るには、ライフジャケットが有効ですし、ペットボトルを渡すなどでとにかく浮力得れるようにすることです。とにかくなんでも良いので浮きそうなものを手当たり次第に投げてあげて、溺者が何か取れれば自分の体が浮きやすくなります。

国立青少年教育推進機構/川でおぼれた人を助けるには

自然界はいろいろな川の流れ、海の波など絶えず変化していきますが、しっかり呼吸を確保することができれば、その間は命を落とさずに済みます。どんな状況でも最後まで頑張って呼吸をすることに専念して浮いて待つことが正しい選択肢です。

川の渦には注意

もし流された場合には、川の渦を理解していれば助かる可能性が高まります。例えば水が激しく落ち込んでいる場所では、垂直の渦が発生しています。

垂直の渦が発生
相次ぐ水難事故…3つのNG行動/ANNnewsCH

流れが激しく落ち込んでいる場所では、縦方向の渦が発生しており、上に脱出しようとしても流れに巻き込まれて出ることはできません。そのため一旦潜って移動することや、すぐに体を横にして自分の安定をとることが必要になります。

さらに川の流れには横方向の渦も発生しています。例えば大きな岩の左右には流れが発生しているため、岩の後ろに回り込めれば巻き込まれずに済みます。

大きな岩の左右には流れ
相次ぐ水難事故…3つのNG行動/ANNnewsCH

川は海と違い、急激に水深が変わるため膝より下の水深で遊ぶことにしてください。

離岸流の危険

海水浴場などの遠浅の海で一番危険なのが沖に向かって流れる離岸流です。泳いで戻ろうとしても抵抗が強く海岸には戻れません。また一見しても分からず、海に入ってみて始めて流れがきついということが分かります。

https://www.kaiho.mlit.go.jp/10kanku/miyazaki/uminohitokutitisiki/riganryu/ruganryu.htm

離岸流は地形や波の大きさによって変化し、どの海岸でも起こりうる現象です。およそ砂浜から100mの範囲で発生し、この流れに乗るとあっという間に沖に流されてしまいます。

また足が着いている時には引き込まれている感覚はあるのですが、足が離れると流されていることに気づかないケースもあり、大変危険な流れになります。気づいて岸に戻ろうと流れに向かって泳ぎ、自分が本当に海岸に戻れているかも分からず、体力を消耗して溺れることが多くあります。

一方で岸側から見ても、流されているのか、遊んでいるのか分からない状態で、そのままいつの間にか姿が見えなくなって沈んでいたというケースが後を絶ちません。泳ぎに自身があっても、この先一歩踏み出したら命を失う危険もあるかもしれないと考えて頂きたいと思います。

【おまけ】イルカに噛まれる

可愛い見た目から近寄ってきて喜ぶかもしれませんが、基本は野生のイルカです。専門家は基本、何をしてくるか分からないので近寄らないことを推奨しています。一部の地域ではイルカが嫌う音(超音波発生装置)で対策しているものの、それ以外の地域で人が噛まれるという事故が多発しています。特にイルカの歯は細かく、噛まれた時に手を引いて、切れることがあり、大変な裂傷を負う危険性もあります。

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