2019年10月の台風19号では、記録的豪雨が上流域を中心に降ったため、東京都と神奈川県の境を流れる多摩川では、住宅地への越水被害がありました。
このような水害から命を守るには、自宅や職場がある地域のハザードマップで避難場所や安全な経路をあらかじめ確認し、早めに避難することが重要です。
私たちが住む・働く所が洪水・浸水が発生したときに、どのくらいの高さまで水が上がるのか。それを簡単に理解できるのがハザードマップです。そのハザードマップの見方をお伝えします。
ハザードマップの洪水・浸水想定区域と実際の被害を比べる
洪水・浸水想定区域を地図上で確認できるのが「重ねるハザードマップ」です。
今回は、昨年の多摩川氾濫で浸水被害が大きかった川崎市高津区を調べてみます。
場所「神奈川県川崎市高津区溝口6丁目」を入力し、検索してみます。
地図が表示されるので、左上の「洪水」ボタンを押します。
洪水浸水想定区が表示されます。
左下にある「解説凡例」ボタンを押すと水深の解説がでます。
これで大まかな洪水浸水想定範囲がわかります。
より詳しく調べたい場合は、右上の「危」ボタンを押して、調べたい場所に移動させます。
地図を拡大して調べたい所をクリックします。
クリックすると「この場所の自然災害リスク」が表示されます。
調べた場所では、「洪水によって想定される浸水深:5m~10m」となっています。
洪水・浸水想定区域を調べた結果と実際の被害を比べる
上記で調べた「神奈川県川崎市高津区溝口6丁目」での台風19号(2019/10)の浸水被害を比べます。ちなみに、この地域では2007年にも25戸が浸水するなどの水害が多発していました。
写真のマンションは低地にあり、約50メートル先の多摩川(一級河川)に接する平瀬川があふれたため、マンションの1階部分が水没しました。
ハザードマップでは浸水深は5m~となっていますが、1階軒付近まで浸水が確認できるため、実際は3m未満となっています。建物と水深の関係は以下の図が参考になります。
洪水の程度(浸水深と流速)ですが、12日午後8時過ぎの時点では道路が冠水する程度でしたが、その後15分ほどでマンション1階部分も水没しています。
このようにあっという間に水は流れ込み、避難するのが難しくなります。この洪水の程度(浸水深と流速)と避難との関係を整理した図があります。
参考として、多摩川などの一級河川に接する平瀬川のように、小さな支流では豪雨などで水位が高まった本流が支流の流れをせき止める「バックウォーター現象」が起きる可能性があります。
西日本豪雨(2018年)では、豪雨などで川の本流の水位が上がることで、本流に流れ込むべき支流の水が、壁にぶつかるように流れを阻害され、行き場を失ってあふれ出すバックウォーター現象により甚大な被害となりました。因みにハザードマップではこのような現象は想定されていません。
洪水・浸水想定区域への浸水の速さを調べる
河川氾濫時の危険箇所についての情報を知るためには、以下のリンクが参考になります。
ページ中央付近に内容と操作方法が丁寧に解説されていますのでご確認下さい。
実際に上記で調べた多摩川(一級河川)に接する平瀬川での台風19号(2019/10)の浸水被害を調べます。
アニメーション表示を開始して30分後には、浸水ランクが0.5m~3.0m未満になるのが分かります。