マンションの寿命は?既往の研究から考えよう。

旧耐震マンション

築63年の日本初の分譲マンション「宮益坂ビルディング」(東京都渋谷区)は、2016年から建て替え工事が始まりました。

このような築40年超のマンションは91.8万戸(マンションストック総数の約14%)あり、10年後には約2.3倍の213.5万戸、 20年後には約4.2倍の384.5万戸となる見込みです。

築後30、40、50年超の分譲マンション戸数
図:国交省「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数」より

このように、築後40年以上のマンションが爆発的に増える中、実際にマンションの寿命はどのくらいなのか確認しましょう。

マンションの寿命は?既往の研究から考えよう。

鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションを対象に平均寿命を算出した調査データがあります。

建物は何年もつか
表:財務省・PRE戦略検討会(早稲田大学小松教授)「建物は何年もつか」

1997年の調査データでの平均寿命は44年(青矢印)、2007年は約46年(黒矢印)となっています。

鉄筋コンクリート造(RC造)住宅の法定耐用年数は47年に対して、ほとんど法定耐用年数通りとなっています。

ちなみに法定耐用年数は税法で使われる考え方で、実際に使用に耐えることのできる年数とは異なります。

その他の建物の平均寿命は以下になっています。

建物の平均寿命
表:財務省・PRE戦略検討会(早稲田大学小松教授)「建物は何年もつか」

概ね、どの構造・用途も50~60年程度となっていることが分かります。

例えば木造専用住宅の平均寿命は2005年で54年となっており、法定耐用年数の22年とは大きくかけ離れたものとなっています。

実際には、「宮益坂ビルディング」のように築60年以上の鉄筋コンクリート造(RC造)マンションに住んでいる人は数多く存在します。

早稲田大学小松教授によれば、実質的な鉄筋コンクリート造マンションの寿命は68年程度ではないかと推定されています(小松幸夫(2013)「建物の平均寿命実態調査」より)。

その他の研究では寿命を117年と推定?

早稲田大学小松教授の調査も含め、既往の研究として以下が挙げられています。

RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例
表:国土交通省「RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例」より

1979年の少し古い研究では、物理的寿命を117年と推定しています。

68年~120年近くまでバラつきが大きい要因として、「維持管理・修繕」の有無が挙げられます。

寿命のバラつきの要因

マンションの老朽化を防ぎ、快適で安全な住まいとして維持するためには、計画的な修繕工事を実施していくための長期修繕計画の作成が重要です。

鉄筋コンクリートのマンションの寿命が100年以上あるとすれば、建築の大規模修繕工事だけでも7~8回工事を行わなければなりません。さらに設備や専有部分の改修工事が加わります。設備は、少なくとも3回はすべて新しく交換されるはずです。

しかし、中古マンションの中には、長期修繕計画が全く作成されていない場合もあります。そういった物件は2~30年間、何も手入れしないままになっていることが殆どです。このようなマンションの寿命は劇的に下がります。

その他にも、マンションの寿命には、そのマンションの構造(劣化対策等級など)、給排水設備の仕様、立地や環境も影響します。

しかし、定期的なメンテナンスを行ってきたかどうかに寿命は大きく影響します。建物の築年数が古いから耐久性も低いのではなく、メンテナンスさえしっかり行っていけば建替えが必要になるまで100年は持つと考えられます。

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