旧耐震マンションを買うリスクを考える(パート3)。

旧耐震マンション

これまでのブログでは、~1971年、~1981年、1981年~の3つの耐震基準の建物の被害から、旧耐震マンションを買うリスクについて見てきました。

前回のブログを読んでない方は以下からご覧ください。

今回は、追加で分譲マンションの地震被害を確認した上で、復旧して住み続けているのか、建替えたのかを確認します。

旧耐震マンションを買うリスクを考える(パート3)。

阪神大震災マンション復興問題特別委員会が分譲マンションの被災状況を調査しています。

分譲マンション全体被災状況
図:阪神大震災マンション復興問題特別委員会「分譲マンション全体被災状況」より

上委員会が把握しているマンション2,935棟の内、「中破(中被害):大規模な補強・補修が必要な被害」は6.4%となっています(中破については前回のブログをご覧下さい)。

さらに分譲年別に被害状況をまとめています。

分譲年別に被害状況
図:阪神大震災マンション復興問題特別委員会「分譲マンション全体被災状況」より

被災状況別にみると大被害を受けたマンションが最も多い分譲年は、~1971年に建てられた40件(18.3%)です。さらに中被害も20件(9.2%)となっています。

購入ターゲットである1972~1981年は約795棟に対して大被害、中被害ともに約50件(6%強)となっています。

前回のブログで紹介した平成7年兵庫県南部地震被害調査最終報告書(建設省建築研究所)の調査結果でも非ピロティで1割程度は大破しているので、同じような調査結果となっています。

震災から5年後のマンションの復旧状況(99年12月時点)

「阪神・淡路大震災から五年 被災マンションの復興状況」を東京カンテイがまとめています。

東京カンテイの調査対象は、全5,261棟のうち何らかの被害が確認された2,532棟を対象に集計したものになっています。

~1970の建替え比率を別表でみると、大破では31棟中26棟(83.9%)、中破では18棟中10棟(55.6%)、小破では22棟中4棟(18.2%)、軽微では117棟中3棟(2.6%)となっており、中破でも半分は建替えという厳しい結果になっています。

1971~1980の建替え比率をみると、大破では42棟中33棟(78.6%)と、中破では49棟中15棟(30.6%)、小破では158棟中8棟(5.1%)、軽微では647棟中2棟(0.3%)となり、大破で補修となった6棟のみとなっています。

1981年~の建替え比率をみると、大破では10棟中5棟(50%)、中破では41棟中6棟(14.6%)、小破では171棟中2棟、軽微では1224棟中1棟となっています。

以上から、購入ターゲットとなる1971~1980年の復旧状況は、大破〜軽微の896棟については、建て替えが58棟(6.5%)、補修が831棟(92.7%)となっており、補修の比率が圧倒的に高くなっています。また、915棟は損傷はなしとなっています。

このことから、旧耐震のマンションでも非ピロティや構造的な懸念材料を省くことで、補修により住まい続けることが可能と考えてもいいのではないでしょうか。

次のブログでは、「熊本地震」や「東北地方大震災」の旧耐震マンションの被害についても調べてみます。

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