亡くなるリスクが高い自然災害は何か。ハザードマップが役立つ場合と役に立たない場合。

ハザードマップの見方

ここでの自然災害は強風、大雨、洪水、高潮、波浪などによってもたらされる自然災害のことです。

自然災害で亡くなったり、行方不明になった方が、どのような状況で遭難しているかをまとめた調査結果があります。

この調査結果を知ることで、どのような状況が災害リスクが高いのかを理解し、身を守るための行動を考えましょう。

亡くなるリスクが高い自然災害は何か。ハザードマップが役立つ場合と役に立たない場合。

静岡大学防災総合センター牛山教授は、1999~2018年の風水害による死者・行方不明者1259人についての調査結果をまとめています。

 

自然災害の原因

1259人中の犠牲者数

割合

1位

土砂

580

46.1%

2位

洪水

(川から溢れた水で)

285

22.6%

3位

河川

(増水した川に近づいて)

242

19.2%

4位

強風

81

6.4%

5位

高波

25

2%

6位

その他

46

3.7%

亡くなった原因で多いのは土砂災害で全体の約5割を占めています。次に洪水と河川が続き、約4割を占めています。

洪水によって、溢れた水で流されたケースや、増水した川に近づいて転落したケースなどがあります。ただし後者のケースでは、日常の中で車や徒歩で移動していて川に落ちたケースが多くを占めています。

そして、風や,海岸付近での波などによるケースは,合わせて1割程度です。

土砂災害で亡くなるケース

土砂災害で亡くなるケースとして、参考リンクをご覧下さい。

台風に伴う土砂災害として、過去最大の発生件数となった「令和元年台風第19号」と、記録的豪雨により平成最大の被害が発生した「平成30年7月豪雨」を取り上げています。

洪水で亡くなるケース

洪水で亡くなるケースは、堤防の決壊により家が流される状況が挙げられます。

洪水で亡くなることを防ぐことが難しいのは、決壊する場所は最後まで分からないことです。

また、水深が比較的浅くても、避難が困難になるケースもあり、結果的に室内や車内に閉じ込められて亡くなることもあります。

河川に近づいて亡くなるケース

河川に近づいて亡くなるケースでは、河川沿いの道路の路肩が崩れ,それに気がつかずに走行した車が転落するケースがよく見られます。また、小さな側溝で犠牲者が生じることもあります。

河川に近づいて犠牲者が生じた例
図:静岡大学防災総合センター牛山教授 「河川に近づいて犠牲者が生じた例」

ハザードマップが役立つ場合と役に立たない場合。

静岡大学防災総合センター牛山教授は、犠牲者の発生場所と、ハザードマップとの関係を比較した調査結果を示しています。

土砂災害で亡くなった方は、約9割がハザードマップ等に示された土砂災害危険箇所かその近傍で亡くなっています。

土砂災害犠牲者と土砂災害危険箇所との関係
図:静岡大学防災総合センター牛山教授「土砂災害犠牲者と土砂災害危険箇所との関係」

そのため、土砂災害ハザードマップで確認することの有効性はありそうです。

一方、洪水、河川といった水関係で亡くなった方は、ハザードマップ等に示された浸水想定区域付近での犠牲者は4割程度です。

水関連犠牲者と浸水想定区域との関係
図:静岡大学防災総合センター牛山教授「水関連犠牲者と浸水想定区域との関係」

ただし、地形的に見れば、洪水の可能性がある扇状地,氾濫原,後背湿地などの低地で亡くなっている人がほとんどです。

低地などの地形分類に関する情報は、国土地理院の地理院地図で参照することができます。

場所をクリックすると「土地の成り立ち」と「自然災害リスク」が確認できます。

「土地の成り立ち」と「自然災害リスク」

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