古い防災知識の間違い。昔の常識は今の非常識。

ハザードマップの見方

災害時の安全対策は、学校などの避難訓練で知っているという人が多いと思います。

しかし、今と昔では災害の常識も大きく変化し、昔教わった知識は、今では非常識と言うケースも少なくありません。

今知っておくべき、防災の新常識を確認しましょう。

古い防災知識の間違い。昔の常識は今の非常識。

地震が起きたらすぐに外に飛び出る

地震が起きたらすぐに飛び出した方が良い、と言われるようになったのは、 1978年に起きた宮城県沖地震です。

その時に多くの建物が倒壊して下敷きになって亡くなった人が多かったため、すぐに外に逃げた方が良いという常識が広まりました。

しかし、1981年6月には新耐震基準になり、倒壊・損壊よりも、看板やガラスなど、落下物によりケガをする危険性の方が高くなっています。

地震が起きたらテーブルの下へ

上から落下物や天井が落ちてきた時に身を守るために机の下に隠れるのは小学校での避難訓練から言われてきたことです。

しかし、鉄筋コンクリート造のマンションでは天井が落ちることは少なく、ダイニングテーブルは地震でかなり動きますし、ダイニングには食器棚や食器類など、落ちてくると危険なものが沢山あります。

正解はものが置かれていない部屋に移動して、低い体勢で揺れが収まるのを待ちましょう。

テーブルの下へ

地震が起きたら火をすぐに消す

地震が起きたとき、昔は火災の原因にならないよう「まず火を消すこと」と教わったと思います。

実際に東京消防庁のアンケートでも地震発生時に最初にすることは「火の元の確認」と答えた方が大多数を占めていました。

丁度料理をしていれば、地震が起きたらすぐに火を止めることは正解です。しかし、わざわざ離れたところから火を止めに行くのはかえって危険です。

現在では、火を扱う家電には安全装置がついており、震度5以上の地震を自動で感知し停止します。

さらに、料理中ということは、コンロの上に熱した料理、油などがあれば、飛んできた鍋や熱いお湯や油でやけどする可能性もあります。

大災害時には、救急車はすぐに来てくれません。怪我をしないことが地震時に優先することです。

風呂の残り湯を貯める

断水に備えて、トイレ用の水を確保するという趣旨ですが、マンションでは地震に排水できない可能性が高いです。残り湯が流せないで腐ることも考えられます。必ずトイレは防災用トイレ袋を備えましょう。

また、下水管が破裂損傷を受けていた場合、お風呂に溜めていた水を流すと、水の逃げ場がなくなって、トイレから水が噴き出すことがあります。

お風呂の水を溜めておくのではなく、普段から飲料水や生活用水を備蓄しておきましょう。

トイレに避難

木造家屋では、四周を壁で囲まれたトイレが安全と言われていたこともありますが、新耐震建物で上階が崩れることはほぼ起こりません。

最も怖いのは、建物の歪みでドアが開かなくなることです。トイレに閉じ込められれば、外部に声も届きにくく、さらに停電により真っ暗な空間となることも考えられます。

今は、地震が起きたら玄関に逃げるのが常識とされています。

家の中でも比較的頑丈な場所である玄関で、揺れが収まるまで待つのが良いです。

さらに、避難のために靴を確保するためにも玄関が最適です。

ただし、過去の地震でドアが歪みで開けれないケースもありました。余裕があれば何かあったときのために、ドアを少し開けて逃げ道の確保してください。

対震丁番
図:株式会社シブタニ「対震丁番」より

自動ブレーカー遮断装置

阪神淡路大震災では、倒壊した木造家屋から漏電火災が起きたことから、ブレーカーを自動的に落とす対策が推奨されてきました。

しかし、マンションなどで真っ暗になった場合、室内の安全なところへの移動も出来なくなるし、暗闇の中で倒れた家具や割れたガラスでケガすることもあり得ます。

このような意味で、自動遮断装置を設置するなら、揺れと共に非常用の明かりを確保できるようにしておきましょう。

ただし、避難のために家を空ける場合は、必ずブレーカーを落としてください。また水の元栓やガスの元栓を閉めてから避難してください。

避難生活は余震がなくなるまで

2016年に発生した熊本地震では、4月14日の最初の震度5の地震では、大きな被害はあまりありませんでした。

しかし、避難していた住人の多くが自宅に戻った後に、16日に震度7の前震、17日に震度7の本震により自宅が全壊・半壊して亡くなられた方が多くいました。

全壊、半壊した家屋は、約4万2千棟となり、その中でも新耐震基準を満たした家も少なくありませんでした。

何度も揺れが続く場合、一定期間、小さな揺れがひと段落するまで、避難生活を送ることが必要と言わるようになっています。

帰宅してすぐ片づけるのではなく写真撮影

帰宅してすぐ片づけではなく、地震が起きた後に取るべき最初の行動は「写真撮影」です。

自宅の被災状況によっては、国や自治体へ生活費や修繕に充てる資金を申し込むことができます。

その時に「罹災証明書」に被害の状況がわかる写真を添付して出すと、認定されやすくなります。

濡れたハンカチを口に当てて避難

昔は濡れたハンカチを口に当てて、有毒ガスから身を守りながらの非難が常識でした。

しかし、濡れたハンカチには有毒ガスを防ぐ効果は期待できず、煙を少しずつ吸い込んでしまいます。もちろん、目を保護する手立てはありません。

今は、空気を入れた透明なポリ袋を被ると効果があるとされています。

この方法は、警視庁ツイッターの「緊急時の身近なものの活用術」に、覚えておきたいものとして紹介されています。

透明なポリ袋を被ると効果がある
写真:警視庁「ホテルの避難グッズの使用方法」より

有毒な煙を吸わず、目を開けたままで避難できるため、実際にこの方法はホテルや学校に用意しているところも多く、訓練に使用しているところもあります。ただし、5分以上続けると窒息の危険があるので注意が必要です。

タイトルとURLをコピーしました