「50年に一度の大雨」や「線状降水帯」による豪雨が全国で度々観測されています。
特に夏から秋にかけて、台風や、狭い範囲に数時間にわたり強く降る集中豪雨、短時間に強く降る局地的な大雨が発生し、大きな被害をもたらします。
こうした大雨によって、河川が氾濫したり、家屋が浸水したりします。
また都市部では、地下街や地下室へ水が流れ込んだり、土石流や山崩れ、がけ崩れを引き起こす危険性があります。過去30年のデータからも、7月から9月には特に注意が必要です。
浸水対策はできない?想定外の豪雨が発生(熊本県人吉市)
2020年7月豪雨で発生した熊本県人吉市では、浸水深が戦後最大とされてきた「1965年7月洪水」を上回り、記録に残る球磨川流域の水害では最大級となりました。
この球磨川は、日本三大急流の一つで「暴れ川」の異名を持ち、過去にも度々氾濫して水害をもたらしてきました。近年の「2011年6月洪水」まで少なくとも9回の洪水被害が起きている場所です。
熊本県人吉市はハザードマップの策定に当たって「1965年7月洪水」の時の雨の降り方を想定していました。
具体的には、降水量は80年に1回程度起こる規模として、人吉地点上流域の2日間総雨量を440ミリと想定していました。
しかし、球磨川上流では18時間で470ミリを超える雨量を観測し、人吉市内では場所によって想定の倍以上の浸水となりました。
赤、オレンジ、ピンクが想定超過、緑色が想定内、青色が想定を下回った地点です。
このように想定外の雨量による浸水深が多く確認されています。
浸水対策した住宅に浸水被害
今回の豪雨による被災地の多くは過去にも浸水しているため、地盤をかさ上げした住宅やピロティ形式を採用した住宅が各地にありました。
しかし、対策を施した場所でも、床上浸水を免れることができませんでした。
球磨村一勝地の芋川沿いでは、度重なる洪水被害を防ぐため、1990年から97年にかけて、旧建設省(現在の国土交通省)の事業によって地盤面を広範囲に4~5メートル上げる工事を段階的に実施していた地区でした。
しかし、旧地盤面から7m前後となった浸水深さにより床上浸水が発生しました。
事前の浸水対策例は?
多くの自治体が浸水対策として、床を高くする「ピロティ構造」、「高基礎」、地盤を高くする「かさ上げ」、外壁等の建材の「耐水化」などを挙げています。
しかしながら、球磨川洪水のように、「想定外」によって防ぎきれないケースが多くあります。
もちろん事前に浸水対策できれば良いですが、浸水被害が起こった後に復旧するまでに何をしなければならないのかを理解しておくことは大事です。
長野県では、令和元年東日本台風により、県内では8,000棟を超える建築物が浸水被害をうけています。
そのため、水害後の復旧までの流れと注意点の概要を分かりやすくまとめていますので確認してください。