マンションの浸水被害と浸水対策を確認しよう。記録的豪雨に備えよう。

浸水被害

2019年10月の台風19号では、記録的豪雨が上流域を中心に降ったため、東京都と神奈川県の境を流れる多摩川では、住宅地への越水被害がありました。そのため床上・床下浸水は7万棟に上りました。

ある地域では、約50メートル先の多摩川(一級河川)に接する平瀬川があふれたため、マンションの1階部分が水没しました。この地域では2007年にも25戸が浸水するなどの水害が多発していました。

このような豪雨から命を守るには、自宅や職場がある地域のハザードマップで避難場所や安全な経路をあらかじめ確認し、早めに避難することが重要です。

それでは近年の記録的な大雨でマンションが浸水被害と浸水対策を確認しましょう。

マンションの浸水被害と浸水対策を確認しよう。記録的豪雨に備えよう。

ゲリラ豪雨によるエントランスが浸水

都市部のゲリラ豪雨によってマンションのエントランスが浸水したケースは頻繁にあります。

エントランスが浸水
引用:アメブロ「おとも* 2歳5歳ワーママダイエッターのスッキリ暮らし」より

この場合に問題になるのがエレベーターの浸水です。浸水がエレベーターに及ぶと、センサーが働き運転は停止し、修理や安全確認のために数日使えなくなります。

浸水被害が大きいと機械の故障にも繋がる可能性があります。

特にタワーマンションのエレベーターホールに浸水があった場合、高層階の住人はエレベーターの停止で身動きが取れなくなってしまいます。

また、地下に設置した電気系統が浸水して停電すれば電気だけでなく、給水の増圧ポンプが使えなくなり断水する場合もあります。断水した場合は、トイレの水を流すことができません。

さらに水や食料などのストックを高層階まで運び上げることもできません。高層階の住民は籠城するか、しばらく避難するかしかありません。

対策として、備蓄品や支援物資は、高層階・中層階・低層階とフロアで分けて、途中階にも備蓄場所を設けることが必要です。

武蔵小杉駅タワーマンションの浸水

台風19号では、多くの貯水施設に守られた東京都心部、武蔵小杉駅周辺では河川堤防の決壊を免れた一方、川沿いの一部低地で雨水を川に流すための排水管から増水した川の水が逆流して浸水する「内水氾濫(はんらん)」が相次ぎました。

武蔵小杉駅周辺に内水氾濫
引用:産経新聞「【台風19号】武蔵小杉だけではない…都市部の盲点突く内水氾濫 「日本中どこでも起こる」専門家」より

多摩川の水位が大雨で上昇し、川の濁流が排水管や下水管を通じて逆流し、武蔵小杉駅周辺に内水氾濫を引き起こし、武蔵小杉駅近くのタワーマンションのフォレストタワーでは、地下3階の電気設備などが浸水しました。

マンション住民は、1階玄関や駐車場の出入り口に高さ60cmほどの土のうを積んで浸水対策をしましたが、周辺地域に降った雨を一時的にためておく貯水槽(地下4階)が満杯となりあふれ出したことで、地下3階の設備が水浸しとなったようです。

この浸水で電気設備が浸水し、電気の復旧は5日目になりました。

武蔵小杉駅周辺には雨水用の大型貯水槽を地下に埋設するタワーマンションが多くあります。

フォレストタワーでは屋外の側溝などから雨水流入升を経由した雨水を貯水槽に集め、ポンプで地表近くまでくみ上げて下水に排水する仕組みでした。

この雨水流入升にはバルブが設置されていないため、外部からマンション地下の貯水槽に水が流入するのを止めるすべがなかったようです。

今後の対策として、屋上にある電気設備を生かし、非常時に使える配線の系統を増やす計画や、雨水流入升とマンション地下の貯水槽の間にバルブを設置する計画中とのこと。

この被害から、国土交通省では、「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」を立ち上げて、ガイドラインの作成に取り組んでいます。

マンションの浸水被害

その他、マンションでよくある浸水場所をまとめました。

地下駐車場・ピット式機械式駐車場

マンションの共用部の浸水被害で、個人への損害が大きく、頻発するのが、地下駐車場やピット式機械式駐車場の浸水です。地下駐車場内やピット内に排水処理能力以上の雨水が流れ込んでしまうと、駐車してある車が水没してしまいます。

ピット式機械式駐車場の浸水

まともに管理ができていないマンションだと、排水ポンプ周りの清掃や点検がされておらず、慌てて確認すると排水ポンプが作動した際にゴミ詰まりを起こして動かなかったり、ポンプ自体の故障に気がつかなかったりします。

管理会社による清掃・点検が日ごろからされているかどうか、必ず確認するべきです。

ただし、想定外の雨量では、ポンプ自体の排水能力を上回る場合もあるので、過去の実被害から想定した排水ポンプを新たに設置するなどの対策が必要になります。

前面道路から下がったエントランス

エントランス水没
twitter:うぐいす坊や@れお「うちのマンションはエントランスが半地下なため腰の高さまで達した水で外へも出られません。一階も水没しています。」より

半地下のように、前面道路から少し下がっているエントランスも、頻繁に浸水しています。

通常、雨水が流れ込んでいることが想定されているような場所ではないため、土のうや止水板など流れ込むのを止めるしかありません。

最近は女性でも設置できる軽量な止水プレートもあるので管理組合の防災備品として備えておくことをおすすめします。また使い方も共有しておくといいでしょう。

1階住戸・半地下住戸

下がったエントランスと同じく1階住戸や半地下住戸は浸水被害が多くなっています。

特に半地下住居はトイレやキッチンなどの排水が逆流を起こす可能性があります。

住居の排水は、住居内でさまざまな場所の排水溝が繋がり、さらにトイレなどの下水と繋がり、最終的には大きな下水道に繋がっています。

台風や記録的な大雨で排出先の下水道の排出能力以上に外部からの流入が大きくなってしまった場合には、住居内で使った水を排出する事が出来なくなります。

また、排出先である下水道からあふれた下水が家庭の排水溝を通って、キッチンや浴室に逆流してくる可能性があります。このように逆流してくる可能性は、住戸の水周りと下水管の高低差が少ないほど高まります。

この場合には、逆流した水をせき止められるように「水のう」で逆流防止対策をしましょう。

逆流防止対策
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