住まいのこれから

その他

多くの人が、どんな住まいが良いかを考え、自分で暮らしを工夫し、その延長線上で暮らしのかたちとしての住まいを考えるようになっています。

特に若い人の多くは、住む場所を決め、自分で生活を編集して、多様なライフスタイルを実践しています。このような背景もあって、住宅展示場のような家を望む人は少なくなり、どんな住まい方をしているのか、住んでいる人はどんな人が住んでいるのかなどが住まいの購入を考えるきっかけになっています。

一方で、住宅産業に属する私たちは、住まいは未来の産業の交差点になると考えています。私たちの社会は、少子高齢化、コミュニティー、エネルギー、医療など様々な課題に直面しています。

それらを解決すべき方法、その交差点に住まいがあると思っています。なぜなら、住まいは生活する原点であり、なくてはならないものであり、この住まいというプラットフォームは、生活に密接した新しい未来を創造することがリアルにできるからです。

宇宙に行くことはまだすべての人が想像できないけど、少し先の未来、電気自動車があって、様々なセンサーが自分たちの行動をサポートし、場所を問わず家族をつなぎ合わせることはそれほど遠い未来ではないでしょう。

ポスト工業化社会のような、従来のような住まいの在り方や生産の仕方を考えてしまえば、なにも変わらないので、暮らしや産業の未来が交差する場としての住まいを考えること、それが私たちの社会の課題を解決するきっかになるでしょう。

そして住まいは自分を発見する場所となり、自分に出会う場所としての住まいがあると思っています。

住まいのこれから

2021年1月19日のガイヤの夜明け(TV東京)では、地域課題を”住まい”で解決する「課題解決型住宅」が取り上げられていました。

シャッター商店街の空き店舗を「住宅」に作り変えることで活気を取り戻そうという「アーケードハウス」計画や、近所の人たちと一緒に高齢者の世話をすることで「介護の人手不足」も解消できる「介護付きシェアハウス」など、「住まい」の視点から地域課題を解決する取り組みが行われています。

その中でも介護付きシェアハウスにはとても感銘を受けました。

はっぴーの家ろっけん

この介護付きシェアハウスが、通常の介護施設と異なるのは、1Fのリビングが、親子連れや学生、外国人といった、介護とは無縁の人々で賑わっている点です。

リビングをコミュニティスペースとして解放し、近所の母親が買い物に行く時などに子供さんを入居している高齢者や近所の人に見てもらう一方、母親はその入居者の話し相手をしたり、簡単な介助の手伝いをして、お互い持ちつ持たれつ助け合うことで世代を超えた交流が生まれています。

この新しい取り組みをする代表は35歳と若く、「家族じゃなくても、暮らしの近くにいる人のコミュニティーが豊かであれば、みんな暮らしやすいのではないか」という“かたち”をここでつくったとのことです。

さらに印象的だったのが、子ども達が亡くなったおじいちゃんの葬儀箱を組み上げ、入居者の葬儀は地域のみんなで行うことでした。

そこにあるのは悲しい死ではなく、歳をとれば老いていくことを淡々と受け入れることを許容するような雰囲気が感じられました。

さらに、アフターコロナの取り組みとして、現代の長屋の1階に高齢者、2階に家賃を安くして若者に住んでもらい、トイレや台所を共有にすることで自然と見守る環境をつくり出し、軒先は駄菓子屋にして近所の親子連れと交流する仕掛けをつくっていくとのことでした。

この仕掛けを「地域の子供たちを見守りながら見守られながら住む高齢者住宅」といいます。さらに「同じものをつくるのではなくて、場所や人に最適なものをビジネス化していくことをこれからも続けて行きたい」と締めくくっていました。

このように住まいを起点として、古くて新しいコミュニティーづくりを考えることができる世代が生まれてきています。

今後は、住生活や都市、防災といったよりスケールの大きな問題に果敢に挑戦する若い起業家が沢山生まれてくるかもしれません。

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