住宅業界の不正・不祥事から消費者は守られるか?

施工不良

住宅業界の闇は深く、最近では大手賃貸住宅メーカーの界壁の施工不良から、建築士免許偽造など様々な不正・不祥事を繰り返しています。

また、ニュースなどで取り上げられることのない「建築基準法違反」「施工不良」は、日々発生しており、特に建築現場における不具合は年々増加しています。

最近では、YouTubeやSNSを使って住宅メーカーや施工会社の「施工不良」などの住宅欠陥をアップする消費者も多くなっています。

このような原因の一つが、高齢化に伴う建設人材の不足です。さらに低賃金や長時間労働を嫌い若年層の流入が少なくなる中、知識・経験不足の施工も目立つようになってきました。

さらに「現場監督」の数も圧倒的に不足し、あるホームビルダーでは現場監督2,3年目で20以上の現場を担当させているケースがあります。このような現場では、目の届いた現場管理はできておらず、実質的に常用大工がその肩代わりをしています。

また、民間の検査機関においても、お客様となる大手ビルダーに強いことは言えず、その業務範囲は限りなく限定的であり、また中間検査や完了検査においても、多分に形式的なものとなっています。

このような業界の実態の中で、工務店やパワービルダー、大手ハウスメーカーであっても、確率的に中小の不具合が発生していると考えるべきです。よって消費者が第三者や建築士を独自に活用して、住宅品質を守らざるを得ないのが実情になっています。

住宅業界の不正・不祥事から消費者は守られるか?

業界関係者によると、大手ハウスメーカーによる不正・不祥事は利益優先の経営体質による無理な工程管理が最大の要因だと指摘してされています。

レオパレス施工不良問題

最も記憶に新しい不正・不祥事は、大手賃貸住宅メーカーのレオパレス21で屋根裏の界壁が施工されておらず火災時の延焼の危険が指摘されたことです。

また、小屋裏などの界壁施工不備、以外にも外壁の大臣認定不適合、天井部の耐火性能不足があり、国土交通省は19年12月13日、同社に所属する1級建築士3人の免許を取り消しました。

これについては施工性を優先したとその原因を発表し、工期を早めることによる「人件費削減」「金利負担の低減」、ひいては月末・年度末などの決算に合わせた「売り上げや利益の確保」が目的だった推定されています

これらを受け岐阜市に立つアパート2棟のオーナーが原告となり、同社を相手取って岐阜地方裁判所へ提訴していました。

20年8月26日の1審判決では、原告の請求はいずれも「除斥期間の経過により消滅した」と判示して原告の請求を棄却しました。これは事実上の門前払いで、原告側は控訴しています。

レオパレス21に続き大和ハウスでも

2019年、レオパレス21に続き、大和ハウス工業は戸建て住宅と賃貸集合住宅の2078棟で柱や基礎に不適切な部位があり、型式適合認定に適合しない設計や施工だったと発表しました。

型式適合認定とは、同じ型のものを量産することを前提として、都度、建築確認で詳細確認せずに済むよう、事前に「型式」としてクリアしておくものです。同型式で建築するで、構造計算も必要なくなります。

ただし、仕様詳細が公表されていないので、その中身はブラックボックスになってしまい、関係者以外がその把握をするのが難しいです。なので、問題の発覚は16年12月の内部通報がきっかけでした。

大手ハウスメーカーによる主な過去の不正・不祥事

過去の住宅業界の不正・不祥事をまとめました。漏れや間違い誤記があれば指摘して頂けると幸いです。

2007年 構造計算書偽装・コンプライアンス違反(積水ハウス)
2008年 建築確認無認可着工(積水ハウス)
2009年 建築確認関係の公文書偽造(積水ハウス)
2009年 屋根の仕様に準耐火建築物としての型式適合義務違反(パナホーム)
2009年 一建設、アーネストワンの戸建て壁量・耐震強度不足問題
2010年 長期優良住宅認定通知書偽造(タマホーム)
2011年 施工建物内に不法投棄(積水ハウス)
2012年 長期優良住宅認定通知書・他建築関連書類偽造(セキスイハイム)
2012年 耐火性能不足が383棟(アキュラホーム)
2012年 準耐火構造の仕様に関する建築基準法違反(住友林業)
2012年 準耐火構造の仕様に関する建築基準法違反(東日本ハウス)
2014年 型式適合義務違反(ミサワホーム)
2014年 防火シャッター雨戸の施工が建築基準法違反(大和ハウス)
2015年 防火ドアまたは防火サッシの国土交通大臣認定の仕様と異なる仕様で施工(大和ハウス)
2016年 小屋裏の界壁パネルで建基法違反(大和ハウス)
2018年 レオパレス21で建築基準法違反 屋根裏の界壁が無いなどの施工不良
2019年 型式適合認定を取得していたものの、認定と受けた仕様とは異なる仕様で施工 (大和ハウス)
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