液状化の起こりやすい土地とは?

液状化ハザードマップ

液状化は、

  • 砂質地盤
  • 水分を含む(地下水位が高い)
  • 大きな地震

の3つの条件が揃うことで発生します。

地盤が液状化すると、地盤沈下や噴砂、陥没が起こり、建物が傾斜してしまう恐れがあります。

他の災害と違い、液状化で人が亡くなることはほぼありません。しかし地区内のライフライン(ガス・上水道・下水道などの生活に必要な設備)に被害が生じたために、居住しつづけることができなくなる場合もあります。

このため液状化による被害を低減するには、ライフラインを含めた液状化対策のレベルを考えることが大切です。

特に土地の購入を検討している方には、どんな場所で液状化が起こりやすいのか知っておくことをおすすめします。

そこで今回は、液状化の起こりやすい土地を説明します。

液状化の起こりやすい土地とは?

液状化の起こりやすい土地は、以下の丸破線部に分けられます。

微地形から見た液状化の可能性

これらの地形から液状化可能性を大中小の3段階で評価することができます。

地盤表層の液状化可能性の程度

微地形区分

自然堤防縁辺部,比高の小さい自然堤防,蛇行州,旧河道,旧池沼,砂泥質の河原,砂丘末端緩斜面,人工海浜,砂丘間低地,堤間低地,埋立地,湧水地点(帯),崖、斜面に隣接した盛土地、低湿地、干拓地・谷底平野の上の盛土地

デルタ型谷底平野,緩扇状地,自然堤防,後背湿地,湿地,三角州,砂州,干拓地

扇状地型谷底平野,扇状地,砂礫質の河原,砂礫州,砂丘,海浜

液状化対策検討委員会編集: 小規模建築物のための液状化マップと対策工法より引用

液状化の起こりやすい土地の見るべきポイント

上記表の3段階評価で、液状化の起こりやすい土地の見るべきポイントを整理したものが以下の表です。

新しい埋立地

造成後年月が経過していない埋立地では、液状化の起きる可能性が高いです。

2011年の東日本大震災の影響で起きた千葉県浦安市の液状化現象では、50~60年以内に造成された比較的新しい土地での液状化被害が目立ちました。

旧河道・旧池沼(川・沼・池があった場所)

河川改修で蛇行していた川の流れをまっすぐにする工事が行われたことで、昔の川が沼地として残っていることがあります。沼や池を埋め立てた土地は、地下水位が高いことが多く、液状化の発生する可能性があります。

大河川の沿岸(特に氾濫常襲地)・自然堤防

大河川の沿岸には、川が運んできた土砂が堆積しています。洪水によって運ばれた砂やシルトが堆積して生まれた地形が自然堤防です。過去に氾濫が頻繁に起きている地域は、土砂の堆積が盛んな地域で、水はけも悪いので注意が必要です。

砂丘の裾・砂丘間低地

砂丘の裾や、砂丘と砂丘の間の低地では地下水位が高いため、極めて液状化を起こしやすい場所です。特に砂鉄や砂利を採掘した跡地の埋め戻し地盤は液状化が起こる可能性のある土地です。

東日本大震災では、千葉県旭市などで砂鉄の採掘跡地の埋戻し地盤が広範囲に液状化して、約750棟の戸建て住宅が液状化被害を受けました。

沢埋め盛土の造成地

液状化が起こらないと言われている丘陵地帯の造成地でも、谷埋め盛土部分で液状化が起きます。

東日本大震災では、沢を埋めた盛土の造成地で噴砂(地震の震動によって表層の砂質土が噴出する現象)が確認されました。

過去に液状化が起こった土地

過去に液状化が起こった土地は締め固まり、再度液状化する危険は少ないという話が聞かれますが、実際には再液状化をする可能性は高いと言えます。

東日本大震災で初めて液状化した地域も、歴史的に大きな地震を経験していないだけで、今度も同等以上の地震があれば、再液状化を起こす可能性は充分にあります。

川の形や池沼の位置を旧版地形図と現在の地図を比べることや、国や市町村から提供されている液状化危険度を示した液状化ハザードマップで、その土地を調べことができます。

具体的に確認していきましょう。

液状化しやすい土地を調べ方(東京都、千葉、横浜、北陸)

液状化危険度マップは、都道府県や市区町村単位で作成され公表されています。

東京の液状化対策ポータルサイト:http://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/investigate.html

東京の液状化予測図:https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/tech/start/03-jyouhou/ekijyouka/index.html

千葉県液状化危険度予測図: http://www.pref.chiba.lg.jp/bousai/jishin/higaichousa/souteijishin/ekijouka.html

横浜市液状化マップ:http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/kikikanri/ekijouka-map/

北陸の液状化しやすさマップ:http://www.hrr.mlit.go.jp/ekijoka/index.html

液状化危険度マップは、地震によりその土地が揺れた場合の液状化の危険(影響)の度合いを地図上に色づけして塗り分けたものです。

参考に東京の液状化対策ポータルサイトから東京都土地履歴マップを見てみます。

調査したい地域をクリックすると以下のマップが開きます(下記は品川区をクリック)。

東京都土地履歴マップ

土地条件図のチェックを入れて、凡例を開くと色分けされた内容が分かります。

東京都土地履歴マップ(液状化)

専門的な内容(補足)

地震の揺れの強さの仮定の仕方として、「震度5強」のように、対象地域全域に対して一定とみなしているものと、

震源と地震の規模を想定した地震が起きた場合、その場所がどれだけ揺れるかを計算して、その揺れによる液状化現象の発生危険度を表したものの二通りがあります。

どちらのタイプであっても液状化危険度マップは、想定されている地震の揺れの強さによって変わるものであることを認識しておくことが大切です。

液状化しやすい土地を調べ方(全国)

液状化危険度マップは、都道府県や市区町村単位で作成され公表されていますが、地理院地図からも土地の成り立ちを確認することができます。

サイトにある「どうやって見るの」の手順通りに操作していきます(品川区に拡大)。

液状化危険度マップ

確認したい場所をクリックすると説明内容が出てきます。液状化リスクが大きいと書いてあります。

さらに「地形分類(人工地形)」をクリックすると、埋立地や盛土などの地形が確認できます。詳しいベクトルスタイル「地形分類」を知りたい方は、https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lfc_index.html

液状化危険度マップの見方の留意点

液状化危険度マップは、液状化危険度の地域的傾向を見るために作成されているため、個々の宅地の液状化危険度を表しているものではありません。

敷地が2つの色分けにまたがっていたとしても、どちらの危険度を信用すれば良いのかと迷うより、もともと液状化危険度マップはその程度の精度だと考えた方が良いです。

東日本大震災では、以前沼があった所で甚大な液状化被害が発生しました。この沼地では、液状化危険度が、市が作成した液状化マップに反映されていませんでした。

また、地盤・土質調査でも隣地との地盤性状が全く違うこともあり、このような土地履歴の違いは液状化危険度マップに反映されていないため総合的な判断が必要になります。

自分で調べる液状化危険度

ある敷地に液状化が起こりそうな地層が存在するか否かは、ボーリング調査などをして、液状化が起こりうる地盤の有無、その深さや厚さなどを調べる必要があります。しかし、このような調査は土地選びの段階で行うことはできません。

そこで国土交通省の”KuniJiban”でボーリング柱状図や土質試験結果等の地盤情報から、液状化危険度を参考にすることができます。

上部タグ“地盤情報の検索”より利用規約に同意して頂いた上で、国土地盤情報検索サイト「KuniJiban]を利用してみましょう。

マップは液状化被害の大きかった浦安IC付近に拡大しました。赤丸をクリックすると詳細が表示されます。

KuniJiban

ボーリングデータの柱状図をクリックします。

ボーリングデータ

ボーリングデータでは地下水位が高く、砂の層が深く続いていることが分かります。

建築物の構造関係技術基準解説書(専門家では黄色本と呼ぶ)より「地震時に液状化のおそれのある地盤」として以下が挙げられています。

イ) 地表面から15m以内の深さにあること。
ロ) 砂質土で粒径が比較的均一な中粒砂等からなること。
ハ) 地下水で飽和していること。
ニ) N値がおおむね15以下であること。

実際の被害分布と比較してみると。

浦安市液状化被害マップ
資料:浦安市

緑色の“特に被害の多い主要道路”の被害と一致していることが分かります。

このように微地形区分やハザードマップから液状化の可能性が高いと判定される場合などは、土質と地下水位の確認を行い、液状化によって発生する地表面の変状の程度が推定できます。

液状化に対して特に気を付けたいのであれば、詳細な地盤調査結果をもとに専門家に相談されることを勧めます。

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