風速の目安。最大瞬間風速60m/sでどのくらいの被害があったのか

台風被害

以前のブログでは、最大風速と最大瞬間風速の違いを書きました。

天気予報や気象情報などで「風速○〇メートル」という場合、一般的に、瞬間風速は平均風速の1.5から2倍近い値になります。

例えば、暴風警報が発表され「風速30メートルの暴風の恐れがある」といった場合、最大瞬間風速では60メートル近い風が吹く可能性があります。

これらの風の強さ、平均風速、瞬間風速の関係を分かりやすくまとめた表が気象庁にあります。

風の強さ、平均風速、瞬間風速の関係
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.pdf

平均風速40m/s以上の猛烈な風では、樹々が倒れる、電柱が折れる、ブロック塀が倒壊、トラックが横転、家屋の倒壊などが挙げられています。

それでは、これらの実際の過去の被害事例を見てみましょう。

風速の目安。最大瞬間風速60m/sでどのくらいの被害があったのか

まずは、最大瞬間風速のランキングを確認しましょう。

歴代全国ランキング
表:気象庁「歴代全国ランキング」より

20位の中で沖縄県は9つ入っており、「台風銀座」と呼ばれるほど台風の通り道となっているのが分かります。

特に宮古島の85.3メートルは日本の観測史上最も強い最大瞬間風速となっています(富士山での記録91.0m/1966.9.25を除く)。

ちなみに風速85.3メートルは時速に換算すると307キロで、日本一速いとされる新幹線「はやぶさ」の最高速に迫ります。

また、2015年9月28日の台風21号でも、沖縄与那国島で瞬間最大風速81.1メートルが記録されています(観測史上4位)。住宅の被害は322戸(全壊10戸)、電柱40本以上が折れました。

2015年風速80メートル
写真:琉球新報「沖縄、過去の最強台風を振り返る 風速80メートル超は2回」より

この台風以前で被害が集中した台風は、2003年9月10日から11日にかけて宮古島を襲った台風14号です。宮古島地方気象台で最大瞬間風速74.1m/sが記録しました。

古い建物だけでなく、比較的新しい建物でも屋根材が飛んでなくなっています。

台風14号による建築物等の被害
写真:独立行政法人建築研究所「平成15年9月に沖縄県宮古島で発生した台風14号による建築物等の被害について」より

また、島内で電柱が約800本折損したため、停電が長期間続きまた交通障害にもなりました。

台風14号による建築物等の被害2
写真:独立行政法人建築研究所「平成15年9月に沖縄県宮古島で発生した台風14号による建築物等の被害について」より

2012年9月28、29日に石垣、宮古両島や沖縄本島近くを通過した台風17号では、最大瞬間風速は那覇市で61.2メートルを観測しました。強風で横転したトラックが那覇市内でも確認されています。

横転したトラック(那覇市内)
写真:琉球新報「沖縄、過去の最強台風を振り返る 風速80メートル超は2回」より

このように平均風速40メートル(最大瞬間風速60メートル)以上では、気象庁がまとめた表にあるような被害が確認できます。

「台風銀座」と呼ばれる沖縄でさえ、このような被害が多発し、対策したとしても被害を避けることはできません。特に台風による停電についてはどうすることもできない状況です。

なぜ台風で停電するのか。

そもそもなぜ台風によって停電が発生するのか、内陸部などでも起こる一般的な原因と、沿岸部特有の原因があります。

一般的な原因として、落雷によって電柱の上にある変圧器を守るヒューズが切れたり、故障したりして停電することがあります。

また、台風の強風によってトタン屋根や看板が飛ばされて電線に接触し、電線が切れてしまうこともあります。さらに強風で樹木や電柱が倒れて、電線が切れてしまうこともあります。

沿岸部特有の原因として、潮風が停電を引き起こす原因となります。送電用の鉄塔は、送電線と鉄塔が電気を通しにくい「碍子(がいし)」とよばれる器具で接続されています。

がいし
図:日本ガイシ「がいしって何?」

強風が吹いて碍子の表面に塩分が多量に付着してしまうと、碍子が機能せず、送電線からいくら電気を送っても鉄塔へと流れてしまいます。

これはフラッシオーバと呼ばれる現象で、バチバチと火花が散っている光景を見たことがある人もいるかもしれません。こうして停電が起きてしまいます。

2019年9月に千葉県を直撃した台風15号は、千葉市で最大瞬間風速毎秒57.5メートルを観測し、93万4900件(9日午前7時50分時点)が停電しました。

停電が2週間続いた地域も多く、全面復旧まで21日要し、復旧まで長期化したことが問題となりました。

停電長期化の最大の原因は大量の倒木にあり、損傷した電柱や電線の復旧作業が大幅に遅れたからです。

台風15号の停電招いた倒木
写真:日経新聞「台風15号の停電招いた倒木 林業衰退で「放置山林」増」より

一方で、2020年9月台風10号では、九州全体で停電件数は約47万5910戸(7日午前6時時点)に及びました。

7日午後3時時点では約25万3530戸が停電、8日午前11時現在で、およそ7万3840戸が停電となっており、佐賀県、熊本県、宮崎県については概ね8日中、長崎県、鹿児島県については明日9日の停電復旧の見通しがあり、復旧スピードが速いです。

理由としては、街路樹などは自治体の所有物になり、配電復旧のために伐採する場合には許可が必要になりますが、事前に九州電力と自治体で連携協定を結んでいるために、許可が不要で復旧を優先させることができるというはなしがあります。

まずは窓の台風対策を

雨戸のない戸建てやマンションでは、強風でものが飛んできて割れることが多くあります。沖縄ではどんなローコスト住宅メーカーでも、窓ガラスは合わせガラス(割れても飛散しないフィルムがある)になっているぐらいです。

飛散したガラスで怪我をすることもあるので、簡単にできる方法として内側からダンボールで補強する方法をお勧めします。

家にダンボールがない場合は、ガムテープを「米」印に貼っていくだけでもガラスの飛散防止に役立ちます。

https://ch.togetter.com/2019/10/11/74289
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