最大瞬間風速60m/sってどのくらい。建物の被害はどのくらい。

台風被害

近年では、毎年30弱の台風が7月~10月にかけて発生しており、その中で日本に上陸する台風は5前後となっています(沖縄は除く)。

台風上陸数、上陸が多い都道府県
表:気象庁「台風上陸数」より

上陸数が多い都道府県1位は鹿児島、次に高知、和歌山、静岡となっています。

このような台風の性質を理解し、災害リスクについて考えてみましょう。

最大瞬間風速60m/sってどのくらい。建物の被害はどのくらい。

よくニュースで報道される「最大瞬間風速60m/s」の意味をご存知でしょうか。

ひとことで風速と言っても、平均風速や瞬間風速というように風速を求める時間によって様々な風速があります。

平均風速と瞬間風速のことばの違いをまずは理解しましょう。

下図は、ある日の風速の様子を表しており、赤の線は1分間に吹いた風の幅を表しています。この赤い線の平均が平均風速で、その最大値(青〇)が最大風速(10分間の平均風速の最大値)になります。

瞬間風速と平均風速
図:金沢地方気象台「瞬間風速と平均風速」より

一方で、「最大瞬間風速」は瞬間風速の最大値(青〇)です。

天気予報や気象情報などで「風速○〇メートル」という場合、10分間の平均風速を指しています。一般的に、瞬間風速は平均風速の1.5から2倍近い値になります。

例えば、暴風警報が発表され、「風速25メートルの暴風の恐れがある」といった場合、最大瞬間風速では50メートル近い風が吹く可能性がありますので、注意が必要です。

これらの風の強さ、平均風速、瞬間風速の関係を分かりやすくまとめた表が気象庁にありました。

風の強さ、平均風速、瞬間風速の関係を分かりやすくまとめた表
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.pdf

平均風速20m/sでは、人は立っていることが困難になり、屋根瓦や屋根材が飛散するなど建物にも被害が生じるようになります。

過去の台風と建物被害の関係

台風によって引き起こされる災害には、風害、水害、高潮害、波浪害などがあります。もちろん、これらは単独で発生するだけではなく、複合して発生し大きな被害となることがあります。最近の台風による建物被害をまとめました(気象庁:災害時自然現象報告書)。

台風名

全壊・流失
(棟)

半壊
(棟)

一部損壊
(棟)

床上浸水
(棟)

床下浸水
(棟

令和元年東日本台風

3,280

29,638

35,067

7,837

23,092

令和元年房総半島台風

95

877

53

904

4,739

平成30年台風第24号

53

384

9,639

316

1909

平成29年台風第21号

7

434

2,257

2,776

5,228

平成29年台風第18号

5

617

793

1486

5723

平成28年台風第16号

6

61

386

461

1760

平成28年台風第7・9・10・11号

5

0

3

8

62

成27年台風第9・11・12号

0

0

8

24

186

このようにみると、「令和元年東日本台風」「令和元年房総半島台風」の被害が突出していたことが分かります。

被害が拡大した原因としては、上陸数の多い西日本に比べて、上陸数が少ない東日本の経験や対策不足が考えられるのではないでしょうか。

令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風と命名
図:tenki.jp「令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風と命名」より

「令和元年東日本台風」では、雨については、10 日から13 日までの総降水量が、東日本を中心に17 地点で500 ミリを超え、風については、東京都江戸川臨海で最大瞬間風速43.8 メートルとなり観測史上1 位を更新し、関東地方の7 か所で最大瞬間風速40 メートルを超えています。

また、台風の接近に伴って大気の状態が非常に不安定となり、千葉県市原市では竜巻と推定される突風が発生しました。

温暖化の影響?

温暖化によって日本に迫る台風が勢力を増しているという指摘があります。

「令和元年東日本台風」からのキーワードとして、「急速発達」と「勢力が維持された」が挙げられます。

「急速発達」は、日本海よりかなり南の海域で、海面温度が30℃のところでした。さらに、上の方で強い風が吹いてなかった積雲が垂直に立つことになったため、十数年なかった、近年、稀に見る現象になりました。

「勢力が維持された」は、台風の強さを保つために27℃以上の海面水温があったからです。

台風は海の温度が高いと勢力を維持しますが、自らの風によって(海水を)吸い上げるように混ぜます。海中温度が低い海水と、表面の温かい海水が混ざって、結果的に海面温度が下がります。

つまり、海面温度を台風自身が下げることでブレーキになるのです(エクマンパンピングという)。

通常、台風は日本に近づいてきますと、海水温が低くなるため台風の力は弱まってきます。ところが、「令和元年東日本台風」では、水深の深いところの水温が高く、台風が急速発達し、915hPaになった後、4日間ずっとこの勢力を維持し続けました。

このように温暖化によって海の温度が高くなれば、勢力を維持したまま日本列島を直撃する台風は年々増えると考えられています。

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