住宅を購入する時、建物の引き渡しが完了するまでの建築中にハウスメーカーや工務店が倒産、火事や災害で工事が続けることができない場合などの保証があります。
その保証対象や、保証金額、手続き方法などを確認して、保証制度の利用を検討しましょう。
住宅の保証はどんな種類があるの?
建物完成保証制度
建物完成保証は、万が一、建築中にハウスメーカーや工務店が倒産した場合、既に購入者(発注者)が支払った工事費や、工事途中から引き継ぐ建築会社への追加工事費用を保証する制度です。
住宅完成保証制度は登録制になっており、請負者である建築会社が保証機関に登録する必要があります。この登録には、財務内容などの審査が必要になり、審査基準を満たした建築会社だけが登録を認められているので、登録していない住宅会社も数多くあります。
また、保証機関や保証内容が様々ありますが、保証限度額は、保証対象住宅の請負金額の20〜30%程度か、上限1000万円までのいずれか少ない方というような上限金額を設定している場合が多いので、必ずチェックして下さい。
一般的には保証機関に支払う保証料は購入者(発注者)の負担となります。およその金額の目安は5万~10万円程度です。
注文住宅の場合は、建築工事費はつなぎ融資で複数回に分けて払うことになりますが、請負及び着工で4割、上棟時で3割、引渡し3割だとすると、上棟前で倒産した場合は完成保証制度の範囲を超えてしまいます。
なので、完成保証制度の最も良い使い方は、引き継ぎの建築会社を紹介してもらうことです。通常中途半端な現場を引き継いでくれる建築会社を見つけることは、多額の金額を積まない限り、ほぼ難しいと思います。引継ぎの建築会社を見つけるコストや期間、労力を考えれば、この制度の利用価値は高いと思います。
建設工事補償(建設工事保険)
建設工事補償は、建築工事や設備工事の最中に、火災(放火、もらい火)や、台風や地震などの自然災害による建物の損傷、現場で資材が盗難、通行人にケガ(賠償責任保証対象)、施工ミス等により資材などの損害をカバーする保険です。
これは、ハウスメーカーや工務店などが加入する保険になりますが、加入の可否を確認しておいた方が良いです。これらがきっかけで資金ぶりの悪化や倒産にもつながる可能性がないとは言えないので。
住宅瑕疵担保責任10年保証の後
新築住宅はすべて、完成(引き渡し)から10年間の瑕疵(かし)保証への加入が法律(品確法)によって義務付けられています。なので10年以内に見つかった欠陥は、ハウスメーカーや工務店などに補償を求めれます。
さらに10年保証後、5年以内にメンテナンス工事の実施を前提に、さらに10年の延長保証を申し込むことができます。あまり知られていないですが、他社が供給した住宅でも制度利用が可能です。
また、10年保証期間内に会社が倒産していたとしても、瑕疵担保責任保険の供託金により保証を受けることができます。
一方で、住宅メーカーが独自の長期保証(20年以上)などを設けている場合があります。この長期保証は注意した方が良いです。
住宅メーカー側にとっては、長期保証によって10年ごとに点検費用と必要なメンテナンス工事が自動的に受注でき、顧客の囲い込みができます。
また、途中他社で工事してしまうと、この長期保証は打ち切られるという契約になっています。
つまり、長期保証制度を使っている間は、メンテナンス工事やリフォーム工事などで、自由に施工会社を選べず、価格交渉も出来ない結果となります。
さらに長期保証と言っても、必ず免責事項が定められており、だいたい『自然災害に起因する建物の損壊は保証対象外』です。
「長期保証」という言葉を勘違いせず、これらの点を注意して、10年保証後の保証を考えてみてください。