竜巻(突風)から身を守ろう。静岡牧之原での突風被害は竜巻。

竜巻被害

2021年5月1日夕方、静岡県中部で突風が発生し、牧之原市を中心に被害が拡大しました。現時点で建物97棟の損壊が確認されており、気象庁は、突風は竜巻の可能性が高いと判断し、発表しました。

静岡県中部で突風が発生
2021年05月02日11:40日テレNEWS24

風速は約55メートルと推定されおり、竜巻の強さを示す「日本版改良藤田スケール」では、6段階で4番目に強いJEF2に該当します。

日本版改良藤田スケール
気象庁|日本版改良藤田(JEF)スケールとは

竜巻(突風)の被害は台風と比べて局所的な被害となりますが、一度発生すると家屋の倒壊や車両の転倒、飛来物の衝突などにより、短時間で大きな被害をもたらすことがあります。

まずは、気象庁防災啓発ビデオで竜巻を近距離から撮影した映像をご覧ください(映像時間1分54秒)

この竜巻から身を守るためにどうするべきかを過去の被害から読み解きます。ぜひご覧ください。

竜巻(突風)から身を守ろう。静岡牧之原での突風被害は竜巻。

日本では、平均して年に25個程度の竜巻の発生が確認されています。竜巻は前線や寒気の流入など大気が不安定な場合に発生しますが、台風も主要な発生原因になります。

気象庁によると、1991~2017年に台風に伴って竜巻などの突風が93件(全体458件)。

2019年9月の台風17号では宮崎県延岡市で風速約50メートルの竜巻が発生しました。同じく台風19号でも竜巻とみられる突風で住宅(千葉県市原市)の被害がありました。

竜巻とみられる突風で被害を受けた住宅と車
毎日新聞2019年10月13日 東京朝刊
「竜巻とみられる突風で被害を受けた住宅と車」

竜巻による被害の特徴は?

竜巻は短時間で狭い範囲に集中して甚大な被害をもたらします。

被害分布
平成25年9月2日埼玉県(被害分布:国交省資料)

被害は数分~数十分で長さ数km~数十km・幅数十~数百mの狭い範囲に集中します

建物が倒れたり、車がひっくり返ることがあります。

平成24年5月6日茨城県つくば市
平成24年5月6日茨城県つくば市(写真:気象庁)

様々なものが竜巻に巻き上げられたり、猛スピードで飛んできます。

平成18年9月17日宮崎県延岡市
平成18年9月17日宮崎県延岡市(写真:気象庁)

建物の中でも、飛んできたものが窓ガラスを割ったり、壁に刺さったりするので注意が必要です。

住宅が基礎ごと裏返しに(2012年5月茨城県つくば市で発生した竜巻被害)

2012年5月6日に茨城県つくば市で発生した竜巻では、被害が極めて広範囲に及びました。茨城県では約1250棟の建物が損壊。栃木県でも約860棟の建物が損壊しました。

この竜巻で木造2階建ての住宅の上屋がべた基礎ごと真上に持ち上がって裏返しになり落下しました。周辺は水田と道路で、風をさえぎるものは何もなかったようです。

べた基礎の表と裏がひっくり返り、倒壊した家屋に覆いかぶさる
べた基礎の表と裏がひっくり返り、倒壊した家屋に覆いかぶさる(写真:日経アーキテクチュア)

この原因として飛行機が浮上する原理と似たメカニズムによる可能性があるようです。

竜巻の突風が屋根上部で速度を増し、圧力が低下する。そのため、建物を上部に持ち上げる力が発生する(資料:日経アーキテクチュア)

この住宅は、つくば市内の工務店が約2年前に建設したことが明らかになっています。

つくば市内ではこのほかに、水平方向からの風が外壁を直撃し、住宅を横倒した被害も確認されています。

竜巻による横倒し(写真:日経アーキテクチュア)

また、強風による飛来物で窓などが破損した場合、室内に風が吹き込むことで室内圧が上昇し、屋根裏を上向きに押し上げる力が発生します。それが屋根を飛ばして被害を拡大させることも確認されています。

竜巻(突風)から身を守るためには

竜巻(突風)から身を守るには、

①とにかく頑丈な建物の中へ逃げる

②家屋内で最も安全な場所は「浴室」「トイレ」などの閉鎖空間

③避難時には頭を守る

④ベランダのものを片付ける

気象庁HP
(図出典:気象庁HP)http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tatsumaki/tatsumaki_201408_05.png

竜巻発生確度ナウキャストで予想する(出典:気象庁HP)

「竜巻発生確度ナウキャスト」では、気象レーダーなどから竜巻が今にも発生する(または発生している)可能性を推定できます。

この「竜巻発生確度ナウキャスト」は、竜巻を10km単位で解析し、その1時間後(10~60分先)までの予測を行うものです(10分ごとに更新)。

右下に発生確度1(黄色)2(赤色)がありますが、竜巻などの激しい突風が発生する可能性の程度の違いを表現したものです。つまり発生確度1でも「竜巻などの激しい突風が今にも発生しやすい」気象状況になっていることに違いはありません。

発生確度1発生確度2に比べて頻繁に現れるので空振りも多くなりますが、突風による影響が大きい作業や行事を行う場合には、発生確度1にも十分留意して下さい。

なお、発生確度2が現れている県等には、竜巻注意情報が発表されます。

竜巻などの激しい突風は積乱雲の下で発生します。次のように発達した積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど身の安全確保に努めてください。

(図出典:気象庁HP)

竜巻注意情報が発表されたときには、空の様子に注意するとともに、注意が呼びかけられている区域内において竜巻等の発生する可能性が高まっている領域や今後の変化を「竜巻発生確度ナウキャスト」で確認してください。

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