もし富士山が噴火したらどうなるか

大規模噴火

まずはこの「活火山の分布」をご覧ください。ちなみに活火山とは、「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定義しています。

活火山の分布
図:日本の活火山(気象庁ホームページより)

日本には活火山の数が現在111あり、この30年余り、全国で大規模な噴火が続いています。

2018年には草津白根山が噴火しました。3000年ぶりの突然の噴火だったため、訓練中の自衛隊やスキー客に死傷者が出ました。

2016年熊本地震の半年後に阿蘇山が噴火しました。2015年には口永良部島と桜島、2013年に桜島、2011年には新燃岳の噴火など、いずれもフィリピン海プレートが沈み込んだ場所で霧島火山帯に位置します。

また、2014年には御嶽山が噴火し山頂に居た63人の登山客が犠牲になりました。

もし富士山が噴火したらどうなるか

富士山は、平安時代には活発に噴火しており、平安以降10回の噴火があったとされています。中でも、大規模な噴火をしたのが1707年の宝永噴火です。

南海トラフ地震の宝永地震が発生した49日後に、富士山の南東の山腹で爆発的噴火がありました。溶岩の流出はありませんでしたが、100kmも離れた江戸まで火山灰が降りました。

富士山の噴火の影響が及ぶのは、静岡県や山梨県に限りません。東に100km離れた東京都でも火山灰の降灰による深刻な被害が予想されています。

富士山ハザードマップ検討委員会が04年に作成したハザードマップでは、都内でも2~10cmの降灰が予測されています。

火山灰の降灰
図:富士山ハザードマップ検討委員会「宝永噴火を想定した富士山の降灰ハザードマップ」

わずかな降灰でも交通機関はほぼ運休になると考えられます。

鉄道はレールの表面が灰で覆われると、レールと車輪との間で通電できなくなり、信号や踏切に障害が発生します。道路は視界不良やタイヤのスリップで車が走れなくなります。

2012年の桜島の噴火では、1mm未満の降灰で鉄道が運休しています。

以下に降灰の影響を整理しました(内閣府:大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ資料より作成)。

項目

影響内容

鉄道

微量の降灰で地上路線の運行が停止する。大部分が地下の路線でも、地上路線の運行停止による需要増加や、車両・作業員の不足等により運行停止や輸送力低下が発生する。また、停電エリアでは地上路線、地下路線ともに運行が停止する。

道路

乾燥時10cm以上、降雨時3cm以上の降灰で二輪駆動車が通行不能となる。当該値未満でも、視界不良による安全通行困難、道路上の火山灰や、鉄道停止に伴う交通量増等による、速度低下や渋滞が発生する。

物資

一時滞留者や人口の多い地域では、少量の降灰でも買い占め等により、店舗の食料、飲料水等の売り切れが生じる。道路の交通支障が生じると、物資の配送困難、店舗等の営業困難により生活物資が入手困難となる。

人の移動

鉄道の運行停止とそれに伴う周辺道路の渋滞による一時滞留者の発生、帰宅・出勤等の移動困難が生じる。さらに、道路交通に支障が生じると、移動手段が徒歩に制限される。また、空路、海路の移動についても制限が生じる。

電力

降雨時0.3cm以上で碍子の絶縁低下による停電が発生する。数cm以上で火力発電所の吸気フィルタの交換頻度の増加等による発電量の低下が生じる。電力供給量の低下が著しく、需要の抑制や電力融通等の対応でも必要な供給力が確保しきれない場合は停電に至る。

通信

噴火直後には利用者増による電話の輻輳が生じる。降雨時に、基地局等の通信アンテナへ火山灰が付着すると通信が阻害される。停電エリアの基地局等で非常用発電設備の燃料切れが生じると通信障害が発生する。

上水道

原水の水質が悪化し、浄水施設の処理能力を超えることで、水道水が飲用に適さなくなる、または断水となる。停電エリアでは、浄水場及び配水施設等が運転停止し、断水が発生する。

下水道

降雨時、下水管路(雨水)の閉塞により、閉塞上流から雨水があふれる。停電エリアの処理施設・ポンプで非常用発電設備の燃料切れが生じると下水道の使用が制限される。

空調設備

降雨時30cm以上の堆積厚で木造家屋が火山灰の重みで倒壊するものが発生する。体育館等の大スパン・緩勾配屋根の大型建物は、積雪荷重を超えるような降灰重量がかかると損壊するものが発生する。5cm以上の堆積厚で空調設備の室外機に不具合が生じる。

健康被害

降灰による健康被害としては目・鼻・のど・気管支等に異常を生じることがある。呼吸器疾患や心疾患のある人々は症状が増悪するなどの影響を受ける可能性が高い。

世界的に見ても、近代の大都市はまだ火山の大噴火で被害を受けたことがほとんどありません。このように、現代社会で不可欠なライフラインや人流・物流が完全に途絶えそうです。

富士山噴火に備えたハード対策とソフト対策

富士山噴火に備えたハード整備が本格的に始まったのは2018年度からです。国土交通省は2046年度までの約30年間で噴火による土砂災害を防ぐための堰堤などを造っていくとのこと。

富士山の噴火対策が差し迫ったものとして認識されるきっかけとなったのは、2000年から01年にかけて多発した富士山直下を震源とする低周波地震です。

こうした中で国交省と山梨県、静岡県は、2018年に「富士山火山噴火緊急減災対策砂防計画」を作成しました。

また、富士山噴火という不確定要素の多い現象に対して、堰堤の整備といったハード対策だけでは対応しきれないため、土石流検知センサーや監視カメラなどによるソフト対策も挙げています。

リアルタイムハザードマップ
http://www.bousai.go.jp/kazan/kouikikouhaiworking/index.html

さらに、国土交通省では「リアルタイムハザードマップ」により、想定していなかった火口から噴火したり、溶岩ドームの形成などで地形が大きく変形したりした場合に、条件を改めてシミュレーションして、随時ハザードマップを更新するソフト対策も実施。

富士山に加え、浅間山、御嶽山、霧島山、桜島の5火山で既に運用が始まっています。

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