これから家を建てる人や購入する人、特に郊外の住宅地を検討する人は、土砂災害の高い場所をなるべく避けるためにハザードマップを確認するべきです。
土砂災害警戒区域は、住宅を購入する際の重要事項説明に含まれています。しかし、実際にどのような被害が起きるかまでの確認はしません。
そこで、地滑りの発生箇所がハザードマップと一致した被害を確認しましょう。
地滑りの発生箇所がハザードマップと一致。住宅選びで確認しよう。
2021年3月4日午前0時ごろ、新潟県糸魚川市来海沢(くるみさわ)の山中で幅100メートル、長さ約1キロにわたって地滑りが起き、流入した土砂で住宅など6棟が倒壊しました。
専門家の調査によると、今冬の豪雪が、ここ数日の高温により急激に解けたことで、「想定外」の大規模地滑りが発生したと見れれており、大雨以外でも地滑りが起きることが確認されています。
この地滑りの発生場所が、糸魚川市の土砂災害ハザードマップに示されている土砂災害警戒区域とほぼ一致しています。
住宅など6棟が倒壊にも関わらず死亡者ゼロ
土砂災害ハザードマップの作成にあたり、土砂災害防止法に基づいて都道府県が土石流、地滑り、崖崩れのリスクを抱える場所を現地調査し、危険な場所を土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定します。その結果をもとに市町村が土砂災害ハザードマップを作成して配布します。
糸魚川市では直近の2011年11月~12年6月に断続的な地滑りが発生して土砂が流出する被害がありましたが、それ以降は大きな土砂災害は発生していませんでした。
過去の地滑り被害から、地域住民はそのリスクを認識し、発生を想定した避難訓練を繰り返していました。さらに地滑り速度が緩やかだったため、住民に避難の時間的余裕がありました。
これらが重なり、6棟の住宅が全壊する被害を受けながらも人的被害を回避できています。
土砂災害の調べ方
土砂災害のおそれのある地区は「土砂災害警戒区域」や「土砂災害危険個所」とされています。住宅がこれらの土砂災害のおそれのある地区にあるかどうか、ハザードマップで確認できます。
土砂災害は、地形に左右されやすく、特に地滑りについては反復性が高く、何度か繰り返すうちに棚田のような独特の形状(地滑り地形)になります。こうした場所は警戒区域の対象となります。
先ほどのハザードマップで土砂災害を関東全域で調べてみると。
急傾斜地の崩壊場所が大部分を占めていることが分かります。地滑りは、都心近郊ではそれほど心配する必要はなさそうですが、急傾斜地の崩壊事故は多く発生しています。