古いアパートの錆た階段を補強するために考えないといけないこと

施工不良

2021年4月、東京八王子市のアパートの階段が崩れ落ちて、住人が死亡する事故が起きた件を受けて、特に古いアパートのオーナーからの問い合わせが多くなっています。

この事故では、階段は鉄製だったものの、それを受ける木材が腐食して崩落したとのことでした。

木材が腐食して崩落
NHKニュース/東京 アパート階段崩落で住人死亡 建設会社など関係先を捜索

アパートの外付けの階段に木材を使うことは法律で原則、禁止されていて、アパートの外付けの階段に木材を使う場合、防水加工などの腐食を防ぐ対策が法律で義務づけられています。しかし、このアパートでは対策がとられていなかったことが分かっています。

また、設計をした横浜の建築士事務所は警視庁に対し「事故が起きて初めて木材が使われていることを知った」と説明しているということです。

当初の設計と異なる工事が行われた上、木材の腐食を防ぐ対策もとられていなかったのはなぜなのか、詳しいことはまだ分かっていません。

そもそも外階段に木材を使うことは、設計ではあり得ないので、工事で勝手に変更されてしまい、設計図通りの工事が行われていない、かつそのチェックもできていなかったことが問題でしょう。

施工した建設会社は、このアパートのほかにも複数の共同住宅で工事を行っており、その数は東京都と神奈川県で少なくとも134に上ることが分かっています。

今回は、このような事故を受け、特に古いアパートの補強方法について考えてみましょう。

古いアパートの錆た階段を補強するために考えないといけないこと

確認確認は不要

建築基準法では「主要構造部」、つまり「壁・柱・床・はり・屋根・階段」を、半分以上修繕もしくは模様替を行うときは、建築確認申請の提出が必要になります。

しかし、この建築基準法の「階段」は建物内部の共用階段を指し、外部に設置された建物構造に影響を与えない鉄骨階段は該当しません。つまり、古いアパートの外階段を補強する場合は、確認申請や届出は必要ありません。

他にも屋根材を軽い材料にふき替えるケース。屋根は主要構造部に当たるので、屋根全体の過半をふき直す場合には基本的に確認申請が必要となります。

なぜ屋根材が構造に入っているのか?「構造」という言葉が含まれるので、主要構造部とは構造耐力と関係する部分だと誤解する人が非常に多いです。

この言葉の意味は、防火上の観点から主要とされる「壁、柱、床、梁、屋根または階段」を指しています(法2条5号)。屋根は主要構造部ですが、基礎は主要構造部ではありません。また防火上重要でない間仕切り壁、屋外階段も主要構造部ではありません。

建築確認が不要な耐震補強はどこまでできる

補強する際に、確認申請をしないで済む方法は大きく2つあります。

上記に述べたように、1つは、大規模の修繕・模様替えに該当しないよう、「主要構造部の過半」にならない範囲に補強部位を絞る方法です。

2つ目は、建物の荷重を支える要素については、主要構造部とは別に「構造耐力上主要な部分」(建築基準法施行令1条3号)を定めており、例えば柱の場合、建物全体の総本数に対する補強本数を半分以下に納めれば、確認申請の必要はなくなります。

その他にも、基礎下に免震装置を挿入する工事も、基礎が主要構造部に該当しないので建築確認の申請を必要としません。中間階免震の場合も、切断する柱が建物全体の柱本数の過半でなければ、確認申請は不要となります。

注意しなければならないのは面積増

古いアパートのバルコニーが垂れ下がってきて、補強フレームを設ける構造補強は、バルコニーの面積が増えるため、増築扱いになることがあります。

補強フレーム
Yahoo!知恵袋より

また、都心の住宅では、建ぺい率いっぱいで建物を立てている場合が多いので、増設したら違法建築になってしまう可能性に注意が必要です。さらに壁に囲まれたバルコニーは建物として判断される可能性があり、同じく違法建築になります。

この増築については、防火地域および準防火地域以外での10m2以内であれば増築、改築、移転も確認申請は必要としません。

良く受ける質問に「10m2以内の増築を何度も繰り返すせば良い?」があります。最終的に10m2を超える増築でも、複数回に分けて実行すれば確認申請は不要ですよね?ということです。

法文上は確かに10m2超の場合に確認申請することとされていますが、あくまで増築の合計が10m2を超える時点で必要と考えるのが妥当でしょう。

確認申請が法的に必要なくても、その建築が法に適合していなくてよいわけではないので、法適合は大前提という点を忘れてはいけません。

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